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都心のホテルの客層がやばい

俺がいま働いているのは、都心部のホテル。インバウンド全盛のころはADR(平均室単価)2万~3万ぐらい。

コロナ以降のインバウンドの壊滅で稼働率は急転直下し、本社の方針で単価を下げて稼働を維持することで最低限の売り上げを確保している。(といっても大赤字だが)

平日のADRは6500円程度。需要と供給の問題だとか、今までのホテルバブルが異常だったとかはまあ分からんでもないしある程度しょうがないよね。

そんなことより単価が落ちると何が起きるかというと、平たく言えば客層がゴミになる。

クレーマーが増えるとか愛想の悪い客が増えるとかそういうレベルじゃない。

15年弱この仕事をしているが、この1年半はそれまでの13年より圧倒的に濃かった。

コロナで売り上げが落ち始めた2020年頭以降、宿泊者から逮捕者が3組出た。客室での犯罪行為も3件起こり、死体は2回発見した。

特定されない範囲で、いくつか思い出しながら書く。

■違法薬物密売グループ

ある日県警の機動捜査隊の腕章をつけた私服警官がフロントに来て、情報開示を要求してきた。

所定の対応をしながら「逮捕沙汰になるんですか」と聞くと、「令状取れ次第今夜にでもすぐ」

その夜本当にハイエースみたいな車が5台ぐらいと、捜査員30人が令状携えてやってきた。令状には覚せい剤やコカインその他もろもろの文字列があった。

マスターキーを引き渡して部屋に踏み込んで2時間程度すし詰め状態になったあと、手錠されて連れてかれてた。家宅捜索めっちゃ密じゃん。25平米に15人以上入ってたぞ。

残置された荷物は忘れ物扱いにしてくれと言われたが正直すぐ処分したかった。年配女性と思われる名前の預金通帳などがあったので処分できずにいるうちに、被疑者の身内が引き取っていった。

■出会い系ゲイの置き引き

繁華街に近いこともあり、客室がハッテン場的に使われることが多い。

ある時ほぼ全裸のおっさんがフロントに来るなり「シャワー浴びてる間に連れに荷物を置き引きされた、あとインロックしたから部屋を開けてくれ」と言ってきたことがあった。

部屋番号とあわせて予約名を確認するも、まったく知らないという。監視カメラの記録で全裸おっさんが間違いなくその部屋から出てきたことがわかったため、マスターキーで開けた。

その場で確認すると携帯電話から財布や定期入れまですべて持っていかれたらしい。全裸おっさんの希望により110番。

やって来た制服警官は先週にも顔を合わせた人だったので、「ああまたですか」「またなんですよ」このパターンの荷物の持ち去り先週もあったんだよな。

制服警官と少し雑談すると、先週も今回も出会い系でマッチングしたらしい。出会い系を使うゲイは気をつけろ。あと監視カメラ見直したら同一犯だった。ようやるわ。

■パパ活困窮女子

1泊の予約をネットで取って宿泊し、翌朝にその日の夜の予約をする、という利用方法がすごく多い。めんどくせーから一気に取ってくれ。

だいたいの場合では予約ごとの支払いになるので、宿泊費を日払いすることになる。ちなみにうちは最低限その日の分だけでも前金でもらう決まりです。

ある時超美人が支払いに遅れ、払わないなら出てってもらうぞと詰めたところ、翌日にゴツいレクサスに乗った清潔感ある50ぐらいのおっさんがドカンと立て替えて払っていった。

レクサスおっさんは「この子の素性はよく知らないので、もしチェックアウトするようなことがあったら立て替えた金を回収できなくなるので連絡してほしい」と言って名刺を置いて行った。

誰もが知る有名メーカーの役員だった。金は立て替えるのに素性は分からないとは……と思ったがよくよく考えたらこれがパパ活か。

■その日暮らしの水商売カップル

明らかに行動パターンがホストとキャバ嬢だろうという男女2人組、これもやはり日払いで長く泊まっている。

支払いが遅れることは全くないが、少し社会性のなさを感じさせる振る舞いが多かった。

普段は夕方出かけて夜中か朝方に戻ってくるが、休みと思われる日などはおしゃれして仲良さそうに2人で出かける姿をよく見た。

住所不定で水商売してるんだろうな、と思っていたら先日荷物をまとめてチェックアウトしていった。お金溜まって住むところ見つかったのかな。お幸せに。

■借金バックレ爆サイ晒され風俗嬢

「誰かが電話してきたり訪ねてきても絶対に取り次ぐな」というリクエストをしてきた見るからに風俗嬢な2人組。

リクエスト通りにはしていたが、それでも反社っぽい人間が何人も頻繁に訪ねてくるのはなかなかにプレッシャーがある。嘘つくのってカロリー使う。

名前をググったら、爆サイの風俗スレで本名を晒されて「金返せ」「殺してやる」などとさんざん書き込まれていた。

もうひとりの名前も、Twitterの個人融資界隈で晒されていた。「友人が行方不明です。犯罪に巻き込まれたかもしれません」っていうツイートは借金の追い込みにも使われるのだと知った。全裸写真つきで。

ある日突然、返金も受けずに慌ててチェックアウトしていった。残置物が相当あり、忘れ物として整理をしていたところ、ホストクラブの300万の領収書や、裏紙に書かれた借用書、カードローンの申込書などが大量にあっ た。

その翌日に今までより凄みのある反社が訪ねてきたので、うまいこと逃げたのだろう。個人的にはどこかに沈められていてほしい。二度とご宿泊いただきたくない。

疲れたのでこの辺で。俺の憧れていたホテルマンという仕事はこんなではなかったはずなのに……