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フェミニスト議員連盟の件で援軍が少ない理由

フェミニスト議員連盟の件で,これまでの似た騒動でフェミニスト側で炎上に関わってきた人たちが妙に静かなのが気になった.キズナアイの件でも,宇崎ちゃんの件でも,だいたい炎上して数日経つとYahoo!個人ニュースか現代ビジネスあたりにフェミ側を擁護する記事が出て,これまたボロクソに叩かれるのが通例なのだが,今回は各人のTwitterですら完全に沈黙を守っている.

それもそのはず,これまでの事件と違い,今回の件だけは,擁護に回るのは相当なリスクがあるのだ.

1. フェミニスト議員連盟の「性犯罪を誘発する懸念」はさすがに踏み込みすぎた

これまでの騒動だと,「女性への偏見・蔑視を促進する」とか,「女性が性的対象になっている」とか,最大でも「環境型セクハラ(みたいなもの)」という,良くも悪くもふわっとした指摘にとどめてあった.ところが,今回は,刑法犯罪を誘発するとまで述べてしまった.これにより,擁護のハードルが一挙に上がってしまい,当該表現は人に犯罪をおこさせるほどの強烈な作用を持つことを立証せねばならなくなった.これはかなり厳しい.また,定番の「TPO」「内閣府ガイドライン」「性的モノ化」の議論も,偏見・差別意識の強化という個人の意識の話までは使えても,犯罪という具体的な行動の誘発となれば,力不足である.要するに,これまでのグレーゾーンでの戦法が通用しない,完全なる危険領域にフェミニスト議員連盟は踏み込んでしまったのだ.

2. VTuberの向こうに生身の女性がいた

次に大きいのが,VTuber所属事務所の女性社長が表に立って抗議をしている点だ.この状況下でフェミニスト議員連盟の擁護をすれば,当然,フェミニストの立場にもかかわらず女性社長を批判することになってしまう.もちろん,女性は性差別をしないという訳ではないので,理論上は批判も不可能ではないだろう.が,そもそもが当該表現は「性犯罪を誘発する」という点から出発しているから,下手なことを書けば名誉毀損の訴訟リスクすらあり,苦労の割に旨味がない.この状況で突撃できるのは狂戦士のツイフェミぐらいなものだろう.

3. 圧力主体が政治家だった

最後に,今回の件が特異なのが,政治家が圧力を加えた点だ.これまでの騒動の発端は,弁護士とか大学教授とか色々な人がいたけれど,どれも政治家ではなかった.なので「市民が自主規制をしているにすぎず,表現の自由の侵害には当たらない」という議論が可能であった.ところが今回は,紛れもなく政治家の地方議員が特定の表現に「犯罪を誘発する」と公言した事件であり,一気に表現弾圧の雰囲気が出てくる.ここにリベラル的にヤバい匂いを嗅ぎ取って,沈黙した人もいたのではないかと思う.