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菅前首相の式典でのあいさつ原稿読み飛ばしを「のり」のせいと報じた共同通信に問い合わせた その回答は

この問題は、8月6日に行われた被爆者慰霊の式典で菅義偉前首相が挨拶の一部を読み飛ばしたものだ。その日のうちに、一部の報道で「政府関係者」の話として、「挨拶文にのりが付着していたために起きたもの」として前首相を擁護する話が報じられた。

これについて広島在住のジャーナリスト、宮崎園子さんが広島市の保管する挨拶文の現物を開示請求して直接見た上で直に挨拶文に触ってのりが付着した痕跡さえ無かった事実を確認。私が編集長を務めるInFactでその事実を「総理の挨拶文」として報じた。

この報道について以下の質問を共同通信にメールで送った。

①この「政府関係者」の情報を報じる際に、どのような事実確認をしたのかお教えください。その際、「政府関係者」がどのようにその「事実」を確認したのか、取材の中で確認はされたのでしょうか?もたらされた情報を複数の情報源に確認するというのが基本的な報道に際してのルールですが、そうした確認作業はされたのでしょうか?

②InFactの取材でその「政府関係者」の情報は誤りの可能性が高く、加えてInFactの報道を受けた加藤勝信前官房長官が「のりが付着していたとの話は報道ベースの情報で事実関係は確認されていない」と話して共同通信の記事を事実上、否定しています。これについて共同通信は記者に再度取材の内容を確認されたでしょうか?また、それについて記者はどう答えたのでしょうか?

③共同通信は現在も8月6日の御社の記事が正しく、InFactの記事や加藤前官房長官の会見が事実ではないと考えているのでしょうか?

④結果的に共同通信の記事は政府のフェイクニュースの拡散に加担するものになったと言えるかと思いますが、如何お考えでしょうか?

⑤「政府関係者」という極めて曖昧且つ無責任なクレジットで政府の見解を報じることの危うさはかねてより指摘されてきました。こうした「政府関係者」などというクレジットの利用について再考する考えは有りませんでしょうか?

送ったのは10月6日。feed-back@kyodonews.jpに送った。これは共同通信が設定している問い合わせ先のメールだ。ところが何の「フィードバック」も無いので直接問い合わせの電話をしたのは一週間後の10月12日。対応した編集局幹部が「質問状が見つからない」と言うので口頭で説明した上で「質問状を再送する」と伝えると、受け取りを断った上で次の様に話した。

「記事に書かれた内容以上にお答えはできない」

それはコメントかと問うと、「そうです」と言った。「これだけフェイクニュースの問題が指摘されている中で、その回答で良いのか?」と問うたが、回答は変わらなかった。

勿論、このままで良いわけはない。私を含めて多くの仲間がファクトチェックの取り組みを進めているのは、この共同通信の回答のような姿勢を問題にしているからだ。得られた情報をそのまま流すのではなく、情報の真偽を検証する。それが今、求められている。

与えられた情報云々以前に捏造なのでは? という疑いすらあるのだが