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リベラルが勝つためにまずやらなくてはならないこと/岡田憲治氏(専修大学法学部政治学科教授)

政治学者であり、自身も積極的に政治活動に関与することで、実際の政治の現場の実態をよく知る岡田氏は、リベラルが負け続ける理由として、「政治決断ができず、ためにする議論ばかりしている」、「経済より理念上の平和と人権を重視している」、「正しさを振り回すことで仲間を遠ざける」、「内向きで内部抗争を繰り返している」、「綱領と公約の区別がついていない」などを挙げる。そして、そうした批判は単にリベラル派の政治家だけでなく、リベラル勢力を支持する「自称リベラル」の有権者にも向けられている。

岡田氏はリベラルが今の負け癖を返上し、勝ちパターンに転じるためには、まず何よりも自分たちが「大人」になることで、政治というものが議論のための議論をしたり、正論で相手を言い負かすことが目的なのではなく、法律を作って国民にそれに従ってもらうことこそが政治の本質であることを理解しなければならないと説く。それは何も難しいことを要求しているのではなく、例えば、どうすれば仲間を増やせるかとか、自分自身の正しさに酔わないこととか、小異を捨てて大同につくことを覚えることなどの、むしろ基本的な人間力と言ってもいいようなことだが、得てしてリベラル派の人間はそれができていない人が多いのだと岡田氏は言う。

コップの半分の水のたとえではないが、例えば50%の政策が一致していれば次の選挙まで共闘するために十分な共通政策があるはずだが、なぜかリベラルは残る50%の違いにこだわってしまう。50%は疎か8割方政策が一致している相手に対してさえ、「あいつとは死んでも一緒にやりたくない」と考えてしまうのがリベラルの特徴であり大きな弱点となっていると岡田氏は言う。

「綱領」と「公約」の区別がつかないことも、リベラルの大きな足枷になっている。次の選挙までに実現すべき「公約」で合意できれば十分に共闘を張れるはずなのに、綱領や公約にしていない政策での差異にこだわる人がリベラルの政治家にも、また有権者にも多い。原発政策での不一致が、遂に民主党勢力の再分裂まで引き起こしてしまったが、原発政策で次の4年間にできることなど、どこの政党がやってもほとんど変わらない。それを、20年先の原発政策を巡る考え方の違いゆえにリベラル勢力を分裂させてしまうのは、単に愚かでしかない。