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立憲から1500万円の資金提供を認める。CLP共同代表が「裏切り」と謝罪、辞意表明《解説》

CLPの佐治洋・共同代表が1月6日、声明を出して経緯を説明。クラウドファンディングで自分たちのファンドを運用できるまでの間、立憲民主党から「番組制作費」の名目で広告代理店や制作会社を通じてCLPが約1500万円の資金提供を受けていたことを認め、佐治氏は共同代表からの辞意を表明した。

この問題をめぐっては、立憲民主党の福山哲郎・前幹事長が報道各社にコメントを発表。「理念に共感したため、広告代理店と制作会社を通じて番組制作を支援した」などと説明。番組内容への関与は双方ともに否定している。

声明によると、CLPは2020年3月からの一時期、立憲民主党から「番組制作費」として、広告代理店や制作会社を通じてCLPが資金提供を受けていた。

2016年にCLPを立ち上げた当初は選挙時に投票を呼びかける動画を自費で制作していたが、スタッフや撮影機材に資金が必要となり、手弁当を続けることが困難になっていたという。

立憲民主党との関係については、福山哲郎・前幹事長と話をする機会があり、「フェイクニュースやあまりに不公正な差別が横行する状況に対抗するための新しいメディアを作りたいという理念に共感をいただき、広告代理店・制作会社を通じて番組制作のための支援をいただくこととなった」としている。

同党からは制作費として約1500万円を受け取り、多い時には毎月20本以上の映像制作を行ったという。

佐治氏は「視聴者や出演者の皆さまに対する裏切りであり、モラルを著しく欠いた態度であった」などとコメント。「この件についての説明責任を果たした後、速やかに共同代表を辞任いたします」としている。

CLPの継続・解散の判断や第三者委の設置などは今後検討する方針だ。また、クラウドファンディング以前の動画は公開を止め、それ以降のもので出演者が非公開を望む場合は止めるという。

なお、声明では「資金提供期間に特定政党を利するための番組作りはしていません。立憲民主党からCLPや番組内容への要求・介入はありませんでした」とし、同党に対しても謝罪した。

しかし、報道倫理とは規制や法令だけでなく、これまでの国内外での歴史的な知見や経緯で積み重ねられ、徐々に現場で確立していった原則に基づいている。

それは不文律のものもあれば、各報道機関内で明文化されたものもある。大学でも教えられている。こうした原則に基づいて行動するジャーナリストの倫理感によって、日々の報道は支えられている。

政府など外部の規制に頼らず、「道義観」や「倫理観」をもとに自らを律し、報道のあり方を自主的に探りながら読者・視聴者の信頼を得ていくことが、報道の原則なのだ。

「公共性」を重んじるとして政治を報じる報道機関が、特定の政党から資金を受けながら公にしないという行動を、正当化することはできない。

個人的には、報道も人間の活動である以上、思想の偏りやバイアス、利害関係、親和的な人々への忖度は避けようがないだろうと思っているので、報道機関が「公共」を謳うこと自体が欺瞞的だと捉えている。

むしろ赤旗や聖教新聞のように己のバックボーンや立ち位置が明確になっている方が情報の受け手としてはありがたい。

たかが一民間団体が「公共」を謳うのは暗に「蒙昧な民草に我々が正しい情報を与えてやらねばならない」という奢りが透けて見えるだけで、シンプルに不快である。

更に、現代社会においては複数のメディアを並行して確認することは容易である。

このような時代においては、思想や立ち位置、利害関係をオープンにしたメディアが同じ事象を様々な立場や角度から報道することが重要で、情報の受け手はそれらを統合して総合的な判断を下すような在り方こそが健全である。

したがって、本件においてはできもしない「公共」を掲げるのを止めて己の思想的立ち位置や利害関係をオープンにした上で出直せばよいだけだと思う。