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スターリンの伝記を何冊も読んでいるので断言するが、独裁者が情報から遮断されているというのはまず嘘で...

スターリンの伝記を何冊も読んでいるので断言するが、独裁者が情報から遮断されているというのはまず嘘で、しかもその嘘の出どころは独裁者本人なのだ。独裁者が直面するのは、むしろ逆で、大量の虚実が混ざった情報を受け取るはめになり(独裁制なので部下を信用していないため)……

@toriyamazine

……それをスクリーニングする過程で自分の都合の良い情報を選択して失敗するのだ。プーチンに関してもまず同じパターンで、ウクライナ情勢を読み間違ったのは間違いないと思う。ただ、これは独裁者なら必ず起こるというより、作戦優先の軍事組織や会社では必ず起きることなのだ。何故なら……

@toriyamazine

組織のトップ、あるいはトップグループが作戦を立案した場合、その作戦に関する情報が大量に寄せられた中で、自分に都合の良いモノを選択してしまうのは人間の性のようなものだからだ。これを防ぐには、イギリス軍事型の組織にするしかなく、最も優秀な人材を情報将校にして……

@toriyamazine

……2番目ぐらいに優秀な人材を補給担当、3番目ぐらいに優秀な人材を作戦立案係にして、情報将校と補給担当が作戦をチェックし、情報と補給にそぐわない作戦は拒否する方式にするしかないのだ。この方法のデメリットは、「革新的な作戦」が生まれないことだが……

@toriyamazine

……実戦上ては、だいたいこれで上手くいくし、実際に第二次世界大戦では、名将だらけだったはずのドイツ軍は、大して優秀と評価されなかった英米の将官に負けているのだ。ドイツの参謀方式や、独裁制は真似してはいけないのだ。

@toriyamazine

日本では、明治以降にドイツの参謀方式を軍部が採用したせいで、民間でも「凄い作戦立案をする天才軍師」や「天才独裁者」が大人気なのだが、残念ながらどんなに頭が良くても完璧な未来予測は不可能なので、こういう役職はフィクションの世界だけにしておくと良いのだ。現実世界では不要なのだ。

@toriyamazine

余談ながら、創作物が意思決定や常識形成に影響しているという論はこういう面から一定の妥当性があったりするんだよな