『女性向け界隈との付き合いが長い身としては、そもそも「自分の好きなものを、趣向を理解しない不特定多数の人にも見てほしい」と言う願望がまるで理解できない。愛好者だけで楽しめばいいのに』という発言が大学教員から出たことは、残念だけど表現の自由の歴史に刻まれると思います。あまりに不見識
「女性は自分の欲望を秘め、社会に対してわきまえている、それはとても良いことです」って話なんで、まあ確かにネットの俗流社会学そのものですが、ついに本職がそれを言ってしまいましたか、という感じですね。
「私は女性が書いて女性が読む性表現を好まない」「私はミニスカートを望まない」という人たちが社会に現れたら、「そうね、女性向け性表現やミニスカートはゾーニングされた場所で、愛好者だけで楽しみましょう」とする気なんでしょうか。申し訳ないですが、あまりに学者の発言のタガが緩み切っている
竹宮惠子先生はじめ、多くの漫画家が商業誌に描き、「美少年好き」「恥ずかしい、仲間内でやってろ」と揶揄と嘲笑を浴びながら、一歩も引かずに自分の表現を描いてきたからこそ読者が育ち、その後継者たちの延長に今のBL文化があるということは知らない者がいないはずです。BLの歴史は戦いの歴史ですよ
「女性の性表現の書き手はより攻撃されやすく、より傷つきやすく、より広がりにくい。そこに社会の非対称がある」という話なら分かりますよ。「女性は隠しているのに見せたいのが理解できない、愛好者だけでやればいいのに」は絶対にありえない。エクストリームリーファッキンありえないのであります。
「自分の好きなものを、趣向を理解しない不特定多数の人にも見てほしい」と言う願望は、あらゆる芸術表現の根幹にあるものです。