/note/tech

デブリーフィング:米空軍に学ぶ ナレッジマネジメント法

デブリーフィングの設定

学習は業務の一部であるため、デブリーフィングは実行計画に事前に含まれている必要があります。デブリーフィングの重要度は、オリエンやブリーフィングと同等であり、すべてのメンバーに時間厳守、出席、および貢献が求められます。メンバーは全員、WORKED / NOT WORKED(上手く行ったことと行かなかったこと)と、その原因について話し合い、分析をする準備をしなければなりません。予想外の成功や間違った仮説に基づく成功も、問題として分析する必要があります。

心理的に安全な環境の確立

デブリーフィングは個人の実績ではなく、組織の能力を評価するものです。そのためには、すべてのメンバーが自分の経験や考えを責められることなく発言できる「心理的に安全な」環境が必要です。その目的は建設的な批判を取り除くことではなく、お互いの視点を受け入れて尊重することです。デブリーフィングでは個人から地位や肩書を切り離し、発言も結びつけません。空軍職員はこの考えを強調するために、実際にフライトスーツから名前や階級章を剥ぎ取ります。メンバーの準備ができたら、まずはプロジェクトのリーダーから自身のミスや不十分だった点を発表し、全員に率直な評価を求めます。

目的と結果の確認

人は目前の仕事に熱中すると、本来の目的を簡単に見失ってしまいます。これは組織にとってもっとも一般的であり、もっとも避けねばならない過ちです。デブリーフィングはプロジェクトの目的を確認し、結果と比較することからはじまります。測定可能な目的に対する結果は、達成か未達成でのみ述べることができます。曖昧な答えはありません。達成に近い結果であったとしても、目的は変えず、未達成に至ったミスや不十分な点を検証する必要があります。

ミスは決して失敗ではありません。失敗は、ミスを修正せずに放置することで起こります。ナレッジマネジメントを追求する組織は、ミスを受け入れ、経験から可能な限り多くの知識を得るべきです。プロジェクトの計画時に、検証すべき仮説の定義や「ラーニング目的」を設定することで、組織はその学習効率を大幅に向上することができます。ラーニング目的は、組織の長期的な目標や、克服すべき弱点を踏まえて設定することが効果的です。

根本原因の特定

将来的なミスを防ぎ、成功を再現するためには、望ましくない結果の根本原因を見極めなければなりません。組織の活動において、ヒューマンエラーというものは存在しません。それを防止できなかった組織に、必ず改善すべき不備があるのです。根本原因は人材やトレーニング、業務基準、戦略、中長期目的など、組織の中核に存在するかもしれません。または、計画やチームワーク、実行の不備である可能性もあります。個人のパフォーマンスや、外的影響にとらわれず組織のなかにある問題点を見つける必要があります。