僕がマネージャーとして意識していることの一つに「冪等性マネジメント」(Idempotent Management)というのがあります。冪等性マネジメントとは、 どんな時でも誰とでもいつも同じようなコミュニケーションのインターフェイスでメンバーと接することです。冪等性と表現するとロボットっぽいコミュニケーションを想像するかもしれませんが、ここで言う冪等性はテンションや態度のことを指します。
例えば、ある時は優しかったのに、またある時は冷たいといったような日によって態度にムラがあるマネージャーがいたとしましょう。そういうマネージャーの場合、メンバーからするとマネージャーの様子を伺って「今日は機嫌悪そうだから話しかけるの止めておこうかな〜」という力学が働いてしまいます。そして、このような状況が常態化すると、マネージャーとメンバーの関係性が希薄になります。
個人的にマネージャーとしてメンバーとのコミュニケーションの総量を増やすことは、メンバーの成果を最大化させる上で非常に重要だと考えています。もちろん、アカデミックな理論に裏打ちされたハウツーやコーチングのスキルもマネージャーには必要不可欠だと思いますが、それらの習得には一定時間がかかります。しかし、コミュニケーションをとることは誰でも今日からはじめられます。また、それらのスキルが有効になるのも一定以上の関係性を築いたうえでの話ですので、そのためにも日々のコミュニケーションは欠かせません。
にも関わらず、ムラのある態度を取ると、その日々のコミュニケーションの総量が減るリスクがあります。毎回返ってくる値が違うようなメソッドを誰も使いたくないのと同様に毎回態度が違うマネージャーとは誰も仕事をしたくはありませんよね。少なくとも僕は嫌です。