上のような会話で「何をすべきですか?」という質問は、「私は考えたくない」と言っているのと同じ意味で捉えられてしまう。
したがって、先輩の「だから頼んでるんだろ」という反応は理解できる。
部下はまず、ある程度案を出して、先輩に諮ることが期待されているのだ。
だが、彼はそうしなかった。
だから、期待を裏切った彼の評価は低くなった。
こんなことが続き、期末に彼は
「考えていない」
「仕事しない」
「使えない」
という評価を受けるに至った。
仕事があったら、とにかく仮説や自分のやり方を「決め」て、それを上に諮り、検証してもらわなくてはならない。
「決められない」
「考えられない」
「わからない」
という言葉は、極力使わない。
いや、使えない。
それが「無能」と認識されないための処世術であることを、私はあらゆる会社で見出すことができた。
(中略)
だが、スキルが不足しているのは「部下」だけではない。
実は「先輩」の側も、同様だ。
(中略)
これに基づけば、先輩は3つの誤りを犯している。
1.戸惑っている部下に対して、先輩は明確な指示を与えていない。
2.部下は他の仕事が忙しく、新しい頼みごとを受け入れられない状態かもしれないが、先輩はそれを確かめていない。
3.部下は「自分で決定してなにかやる」ことで過去に怒られたり、叱られたりしたことがあるかもしれない。「どんな感じでもいいから、まずは思ったとおりやっていいよ」などの声掛けが必要かもしれない。