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AIが半導体の「設計者」に Google、回路配置100倍早く

設計者の労力を何千時間も節約できる可能性がある――。グーグルの研究グループは6月、AIを用いた半導体回路の設計手法を英科学誌ネイチャーに発表した。演算性能や消費電力、チップの大きさなどについて、人間の設計者が数カ月かけたものと同等以上の回路配置を6時間以内に生成できるという。

グーグルの研究グループは配置作業を囲碁などのボードゲームになぞらえ、回路構成を盤面や碁石に見立てて学習を進めた。演算性能などを左右する各指標をバランスよく満たすことが「勝利条件」だ。最適な打ち手を重ねるイメージで、性能上の要求に合致する回路の配置を導き出す。

出光興産は22年春にも海上輸送で活用を始める。同社は製油所から貯蔵施設の油槽所へ、約50隻の内航船が2週間に200~300回航海して多種の石油製品を輸送している。配船の組み合わせは10の2600乗通りで、熟練作業員が日々、長時間かけて計画を作ってきた。

同社は新たにAI開発のグリッド(東京・港)と組み海上輸送を仮想空間に再現。強化学習で成功と失敗を繰り返しながら、AIが効率的な配船計画を導けるようにした。計画作りの時間を従来の60分の1に縮め、輸送距離を約4%削減する効果も確認した。

三井化学は化学プラントの運転支援システムへの導入を検討する。NECや産業技術総合研究所などとの実験で、運転員の手動操作と比べメタノールの生産量の変更時間を40%短縮できることを確かめた。時間短縮で素早く増産に移行でき、生産量自体も増やせる。

化学プラントで生産量などを変更する際は手動で状態をゆるやかに変えるため、数時間~半日程度かかることがあった。