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神エクセルがなぜ生まれたのか。その誕生秘話

僕の役所時代の話の中でも特に多くの人が知りたいであろう話をしよう。

そう、神エクセルがなぜ生まれたのか。その誕生秘話です。

そもそも神エクセルとは何か?

Googleで神エクセルを検索すると一番頭に出てくるのが

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Excelにおいて,セルの高さや幅を狭めて方眼紙状にし,セルの結合を多用した書式を,俗に「神Excel」(⁠ネ申Excel)と呼びます。 紙に印刷することを前提とした書式であることから,「⁠紙」が転じて「神」と呼ばれるようになりました。

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という答え。

役所の申請書とかのフォーマットがエクセルで作られていて、それが神エクセルって言うわけです。

なぜワードでなくてエクセルなのか?

僕は大阪市役所時代、民生局という局でワープロからパソコンへのリプレースを担当してた(1人でやってたよ!大変だったよ!)んですが、神エクセルが自然発生する様をまざまざとみてきた時代の生き証人なのです。

ワープロ時代は全国的にシャープの書院が役所の職場を席巻していて、書院は役所にとってめちゃくちゃ使いやすい機種でした。

役所には「文書事務の手引き」とか「文書事務規程」とか言われる文書作成ルールがあるのですが、その文書ルールに沿って文書作成できる機能が揃っていたのが書院です。

それが時代の流れとともに書院シリーズは生産中止となり、代わりにパソコンが入っていった。

そして暫定的に存在した「一太郎」時代を終え、ワードに移っていくのですが、これがめちゃくちゃ使い勝手が悪く、文書事務規程のルール通りに文書作成ができなくなったんです。

なにしろ文書事務の手引きには、「一桁の数字は全角で、二桁以上の数字は半角で書くこと」みたいなめちゃくちゃ細かいことまで書いてあるわけです。

中でも職員泣かせだったのは文書番号についての規定です。

文書番号を書く場合、上段の文書番号と下段の発出年月日とを同じ幅で書けって決まりがあり、それは書院では「均等割付け」と言う機能で簡単に実現できたのですがワードでは無理だったのです。

文書を発出する際には文書番号簿というノートでユニーク番号を取得するプロセスがあり、そのプロセスの中で文書主任の認証を得る必要がありました。

ルールに適合してない文書は発出できない。

なので多くの人はワードを諦めて別な方法を探したわけです。

そしてエクセルに目をつけた。

エクセルならセルを結合すれば擬似的に均等割付け機能を実現できたからです。

こうして文書番号の取得が必要な公な書類の鏡文(行政文書の表紙ね)の神エクセル化が進みました。

また、並行して文書事務規定の縛りが強い申請書類系もエクセルでリプレースされていきました。

申請書類は条例・規則・規程・要綱のいずれかで様式が固定されており、変更は容易ではありません。

こうしたことから神エクセルは恒久化され、今でも皆さんに親しまれているというわけです。

おしまい。