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某国立病院ITエンジニアから民間へ転職し、感じたこと

自分は以前に以下のエントリを書いた。

「某国立病院のITエンジニア職を辞めることにした」

https://anond.hatelabo.jp/20210228121158

あれから約1年。久々に見ると、それなりに反響があったようだ。

記載の通り、自分は某国立と名の付く病院を辞め、現在は民間企業の情報システム部門のエンジニア職だ。

辞したことは後悔していない。待遇も収入も向上し、環境が良くなり、第一、今の職場は同僚が良い人だ。

上場企業であり、海外の売上が高く、企業名は誰でも知ってると思う。

公的な機関での医療情報の世界から飛び出て、客観的に前職を見つめることができる今、はやり前職は特殊(というか閉鎖的)だったと思わざるを得ない。


■転職後、何が良くなったか

まず、モラルのない職員がいない。

前職で目を疑った出来事の1つが、アルバイトの非常勤職員に物理的・精神的暴力を振るう医療情報技師がいたことだ。

しかも、さらに上の管理職に露見しないような場所で行われていた。

上司に対する不満を、上には言えないものだから、立場の弱い職員もしくは請負業者にぶつけていたのだが、現在の職場ではそのようなことは有り得ない。

現職は、ハラスメント対策には非常に厳しく、社員1人1人の意識もそう荒んではいない。

暴力行為なんて私は想像を絶するのだが、国の機関(法人とは言え)で行われていることを目の当たりにしたのがショックだった。

自分に対する暴力ではなかったが、ショックを受けた。

請負業者の社員が頻繁に退職する理由は、おそらく、これだった。

外部業者にも内部通報ができるのだが、制度を教えていなかったと思う。

民間の今の正社員の責任は、それなりに重い。

というのも、某国立病院にいた時、常勤職員であるというのに病院のことを何も知らない人が一定数いたからだ。

業務を切り分けているというより、そもそも責任を含めて時短勤務の非常勤職員(要はアルバイト)に丸投げする例は多々見た。

責任に応じた給料が支払われているという意味では今の職場はちゃんとしているし、逆に言えば、前職の某国立病院はそうではなかった。


■「流れない水は腐る」

縁故採用は賛否両論がある方法で、招聘した人物にも責任が発生するから安心感があるという側面もあるが、反面、

機能しない人物だと後で判明した場合でも、責任問題にされることを恐れてか、仕事はアレでも評価はなぜか良好で管理職に順調に昇進させられるケースが発生する。

事実、某国立病院ではそういう人がいて、その人は周囲からも管理職からも「何をしているのか分からない人」と言われ、すぐに終わりそうな単純作業を深夜まで必死に頑張っていたりしていた。

しかし、その人物は任期付常勤職員から管理職に昇進した。

縁故で呼んだ責任もあるだろうが、トップが実務を理解していないのも一因だ。

能力の有無ではなく、仲の良し悪しである。

呼び入れた人物が評価者なのだから評価は恣意的になるし、組織全体としてはガバナンスの欠如である。

「公募採用」では縁故は禁止されているが、おそらく、どこの独法も似たり寄ったりだろう。

実務経験ゼロ、かつ業者に実務を丸投げする中途採用の情報専門職が行う医療情報(応用情報研究のくせに)の研究なんて、どれほど有益なのだろうか。

今の職場は能力的に適正に評価された人物でないと昇進ができないから、まだ健全だ。

能力は環境依存的なものであるにせよ、公正である。

(かく言う自分も某国立病院へは縁故で入職したクチだけれど)


■指摘されていた増田について

既に書いたが、自分ではない。

けど、同じ業界にいて同じ境遇の人物がいるというあたり、この業界の閉塞性、将来性の無さ、排他性、旧来型の権力構造…を感じた。

まともな職場もあるかもしれないけど、私が見た医療情報の世界は腐っていた。

自由競争がない世界には発展がない。

既に権力を持った層にはいいだろうけど、何の将来性があるのか、分からん。

腐った世界に、さようなら。

バイバイ、医療情報技師、診療情報管理士、そして医療情報学会。

私は、医療情報技師の資格を捨てるし、今後も寄与したくない。

お世話になった人はいるし、今でも恩を感じてはいる。

でも、私は医療情報技師と医療情報学会が嫌いだ。

あの世界を捨てたことを今でも後悔はしていない。

むしろ、すがすがしい気持ちを今でも感じている。

そして、周囲には、あの業界で見聞きしたことを、しっかりと伝えていくつもりだ。

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