レビューはエンジニアの好き嫌いとか最近興味がある技術とかなどの思いの丈を語る為に提供されたしゃべり場ではなく、成果物の品質が基準に達しているかを確認する場という事が分かっていない人がホント多いなというが最近の感想。
この手のレビュアはひたすら自分の好みを語るけど、じゃあその指摘を反映させないと成果物は要件を満たせないのかというと大体そんな事はない。その指摘はどの品質要件に紐づくのかと聞くと大概明確な回答はない。代わりに”今のままでも問題はないけど…こうした方がよりいいって話”と言ったりする。
別にこれらの指摘は純粋な技術議論として変な話ではない。ただ場が違うだけなのだ。これは要は技術を議論して組み立てる場と出来た物が適切に出来ているかを判断する場というのがきちんとそのチームで定義できていない事に尽きる。事前に指摘をしたくても場がない為レビューの場が使われてしまう。
ただこの手の指摘はプロジェクト運用からすると正直進行の障害になるのも現実であるので、事前にこれらナレッジワーカーの意見を吸い上げて合意形成を事前に取る場が必要になる。その為に場を作るのはいいんだけどナレッジワーカーは基本俗にいう”つよつよエンジニア”が多いのでその運用が難しい。
書面レビューなどを使ってある程度抑制する手段もあるんだけど、これをやるとそのナレッジワーカーのチームや組織への不満度が高まる。何故かというと、この手のエンジニアは技術的な指摘がただしたいだけではなく、【自分の言葉で相手と直接対話して議論をして意見を反映させたい】のだ。
要は、以下の環境を彼らは欲している。
・技術的に語る題材が既にある
・自分で準備は必要がない
・ある程度のオーディエンス
・直接意見が言える
・指摘をしても問題のない場
これに今一番近似する場がレビューの場なのだ。書いてて思ったけどすげーわがままだなこれ。
この手の語りたいナレッジワーカーエンジニアのモチベ維持と彼らから有効な指摘を貰う為にはこれだけのコストを払う必要があるって話になる。おまけにクリティカルな指摘が来るかは運次第。そしてそれが反映されていないと"指摘したのにあいつらわかってない"とモチベが下がるリスクもある。
プロジェクト運営側からすると、本当にこれ払う対価があるのかなと思ってたりもする。なのでこの場に用意する事に対しては消極的である。ただレビューの場で暴発されても困るし。モチベを下げられても困る。なんかうまい方法ないかなぁとは思うけどなかなか見つからない。困ったもんだという話でした。
技術で遊べるのも福利厚生として必要な側面である一方、「今、それを、ここで、議論する意味は本当にあるのか...?」みたいなことをされると温度感が一致してないと即座に辞めたくなるというのはある。