/note/tech

スマホ高騰 これから日本は「修理して長く使う」が主流になる?:小寺信良のIT大作戦

一方日本でも、スマホの自己修理は、権利として認められていくのだろうか。これには、かなりのハードルがある。

まず第1に、現行法では技適マークのあるスマートフォンなどを分解すると、改造とみなされて電波法違反となる可能性があることだ。たとえ分解前とまったく同じように組み立て直しても、一旦中を開けた以上、改造していないという証拠がない。また純正部品からサードパーティ製部品への交換は、改造とみなされる可能性は高い。電波法違反は非常に罪が重く、1年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科せられる。

もう1つは、修理の難易度である。スマートフォンのパーツは、それぞれがかなり小さく、指でつまむと中まで指が入らないので、ほとんどはピンセット作業である。電源は切ってあっても、バッテリー自体は生きているため、触る場所に気をつけないとショートする恐れがある。また先端の尖ったピンセットでバッテリーの表面を傷付けるといった事になれば、リチウムイオン電池の安全性は大きく下がる。

一番大きなポイントは、日本はもはや十数万円の機器を毎年や2年ごとに買い換えられるほど、裕福な国ではくなったということである。スマホを買うときは、修理を前提で延長保証や修理保険に加入するというのが当たり前になってくるだろう。

加えてスマートフォンの進化も、2年程度ではたいして違わなくなってきている。筆者も今年Pixel 4aからPixel 6aに買い換えたが、それは下取り価格がなかなか良かったからであり、Pixel 4aが遅くてどうにもならなかったかというと、そういうわけでもない。カメラもこれ以上高画素になったらファイルが重たくなって、内部ストレージやクラウドバックアップ領域を圧迫することになり、メリットがない。ネット上で拡散される画像として、どのみちハンドリングのよい画素数にシュリンクされるだけだ。

10万超えの商品を毎年or2年ごとに買い換える人間がマジョリティだった時代は無かったと思うのだが。

高級スーツだってそんなサイクルで買う奴は裕福層ぐらいだろう。

高額商品を毎年買い換える人間は金持ちの道楽かそれにハマっているオタクとかでは。

趣味性の高い商品と日用品のスマホを並べるのは違う気がする。