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最近のソフトウェア工学に思うこと

何が言いたいかというと、今の(少なくとも日本の)ソフトウェア工学って、今のソフトウェア開発現場と相当乖離しているように思うんです。最近のソフトウェア開発現場で採用されてる開発形態・開発プロセスを全く想定していないし、だから実務家が持ってる課題意識を、今のソフトウェア工学の研究者は全く把握できてないし、把握しようともしてない感がすごくあります。

ぶっちゃけますが、特に今年になって、ソフトウェア工学関連の学会やイベントの参加者数、論文投稿数が激減してます。特に企業勢の参加が相当減ってるイメージです。

そんでもって、今参加している学会で発表されてる論文、ざっと眺めましたが、申し訳ないけどレベル低いなーと思います。基本的に小粒な研究ばかりだし、発展すれば実務でそのうち役に立ちそう、と思わせる論文がほとんどありません。アカデミックな観点から、新しい領域にチャレンジするようなheavyweightな論文もありません。どこを目指して研究しているのか、さっぱりわからない論文も多々あります。

これは僕だけが抱いている「危機感」ではなくて、同じような話を複数のソフトウェア工学に携わる企業人から聞いてます。昨日も、終了後にある人と話してて、「このまま行くと、日本のソフトウェア工学の研究会って数年以内に消滅するんじゃないか」という話をしていました。

ソフトウェア工学が延々と培ってきたものが、アジャイル開発の台頭で「人類の認知限界に挑戦するようなプロセスはいらんわ」と否定されてしまった感がある。

加えて、手間を掛けて研究としての体裁を整えて発表しても「やってみた事のまとめでは?」とか「新規性は?」とか「再現性あるの?」みたいに面倒臭いこと言われるぐらいなら、ケーススタディとして勉強会で発表する方が遥かにマシだし生産的であるという構造的な問題もあると思われる。