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そのパッチは受け取れない ―ロシアの半導体メーカーに在籍する開発者、カーネルパッチを拒否される

このBikal Electronicsに所属するSerge Seminという開発者が3月14日、Linuxカーネル開発者メーリングリスト「LKML.org」にBikalチップのドライバコードの修正を含む13のパッチを連投した。だが13番目のパッチを共有したあとにメンテナーのひとりであるJakub Kicinski(Meta所属)から返ってきたのは、それらのパッチに対する短い、しかしはっきりとした拒絶であった。

我々はあなたが所属する組織(Bikal Electronics)が製造したハードウェアに関連したパッチを受け取ることに不安を覚えている。追って通知するまではネットワークへの貢献を控えてほしい。

We don't feel comfortable accepting patches from or relating to hardware produced by your organization. Please withhold networking contributions until further notice.

明らかにパッチの品質ではなく、開発者が所属する組織を問題視していることがうかがえる。

なお、このLKML.orgの対応に対して、ITニュースメディアの「The Register」は「ロシアのオープンソース開発者の貢献を拒絶することは、ロシアの国家や組織にダメージを与えるものではなく、ロシアが悪行を再考するきっかけにもならない」として「⁠(⁠LKML.orgは)時代遅れな対応」と厳しく批判している。

意図的な脆弱性やスパイウェアの混入のようなあからさまな妨害工作でないのであればパッチを受け入れてもよいと思うが、一方で「そうではない」事をカーネルメンテナが一々調査検討しなければならないのであれば、そのコストは負担できないという判断も妥当ではある。