Organizational Decision Records とは
ADRの考えを組織の決定に適用したものが、 ODR です。 ODR を用いることで、後からでも組織の決定を確認/共有ができます。
組織改変や新しい制度の導入など、その背景や経緯を後になって知りたくなることもあるでしょう。 そのような時は、 ODR に記録されている情報を参照することで、組織の決定の背景や経緯を把握できます。
また、組織の決定に対して、賛成/反対の意見を述べる場を提供できます。 単なるログではなく、エンジニアリング組織全体で議論をしたうえで、組織の決定が可能になります。 これにより、エンジニアリング組織全体を、組織の決定に巻き込めるのです。
Organizational Decision Records の運用方法
ODR は、組織的な課題の検討時点で作成しています。
一般に、課題に対してどのような解決方法を取るのか、いくつかのソリューションを比較検討することでしょう。 その際に、 ODR を作成することで、考えるべきポイントを明確にして、課題の解決を促進できます。
ODR の作成から、組織の決定をするまでの流れは、次のようになります。
- ODR の軽量なテンプレートを使用して、決定の背景、影響、代替案、期待されるの結果などを記載する
- ODR を作成したら、エンジニアリング組織に公開して、チームメンバーにフィードバックをもらう
- フィードバックをもとに、提案内容の調整する
- チームメンバーの賛成を得たら、 ODR を承認する
時にはセンシティブな内容を含むことがあるでしょう。 その際は、 ODR を公開する前に、関係者にフィードバックをもらうことで、決定内容の調整ができます。 最終的には、全員が見られる情報として ODR を公開します。
Organizational Decision Records のメリット
ODR のメリットは ADR と同様で、組織に対してさまざまなメリットをもたらします。
- 組織の決定を記録できる
- 他の生成物と組み合わせて、全体的な組織戦略を作成できる
- 組織の決定を記録することで、組織の進化に関する展望を得られる
- ODRテンプレートを提供することで、組織の決定における思考を訓練できる
- 組織の決定をピアレビューできる
Organizational Decision Records のテンプレート:
# ODR-0001: ODRのタイトル
## Summary
ODR の概要を記載する
### Status
- [] draft
- [] proposed
- [] accepted
- [] rejected
- [] deprecated
- [] superseded
### Deciders
ODR を作成した人を記載する
## Context
### Background
ODR を作成する背景を記載する
### Problem Statement
対処すべき問題または改善すべき事項を記載する
## Solutions
課題解決のために検討したソリューションを記載する
### Alternative Solutions
代替案を記載する
## Decision
ODR の結論を記載する
## Consequences
ODR の結論によって生じる影響を記載する
## References
関連するドキュメントやリンクを記載する