登氏は「日本にICT人材がいない」という課題の根本原因として、「米国といった“先輩たち”との環境の違いがあるのではないか」と指摘する。その違いは2つに絞られ、1つは「コンピュータ/プログラミングが自由に試行錯誤できる環境があること」、もう1つは「ネットワークの試行錯誤ができる環境があること」だという。
「これらは日本のICT環境においても2000年代に見ることができた。それを発展させなかったために、昨今では外来製品を使わなければならない状況となっている」(登氏)
「米国の先人たちは、夜になると法律や数学、化学、哲学などを学んでいた。これが超正当派の人材育成に大いに関係がある。プログラミング言語、メモリ、プロセス、カーネル分離などのアイデアは突然出てきたのではなく、こういった文系的学問からも派生しているように思える。日本人もおそらく一緒で、本格的ではなくても、3割くらいはこういった文系的学問に投じてもいいのではないか」(登氏)
「第一に試行錯誤できる環境を作ること、第二に文系的学問を尊重すること。だいたいどんな企業も、文系的な人たちが、“けしからん”支配をしている。でも、そういう支配をしている人の頭の中には、こういう大変良い知識も隠されている。技術者も、大変“けしからん”文系的支配的人間と交流を深める必要がある。これによって、いよいよ技術者と経営/企画側との意思疎通が図ることができ、共通の利益が得られる。これが今後、日本で成されるべきものだと思う」(登氏)