2025年1月リリース予定の次期Linuxカーネル「Linux 6.13」に向けて、マージウィンドウではすでにいくつもの新機能が取り込まれつつあるが、一方でメインラインから完全に姿を消してしまうものもある。Linus Torvaldsは11月21日、Linux 6.13の変更作業においてジャーナリングファイルシステム「ReiserFS」をカーネルコードから削除するコードをマージした(冒頭のコメントはプルリクエストを送ったJan Karaのコメント)。これにより、2001年から23年間に渡ってメインラインコードに存在してきたReiserFSが完全にLinuxカーネルから消えることになる。
ReiserFSは2001年リリースのLinux 2.4.1から標準実装となったジャーナリングファイルシステムで、データベースでよく使われるB-Treeアルゴリズムを採用し、高速な書き込みやファイルオープンを実現することから高い人気があったが、メイン開発者のHans Reiserが2006年に妻のNina Reiserを殺害、第一級殺人罪で有罪判決を受けたことから開発が停滞する。最終的には第二級殺人罪で懲役15年以上という判決となり、Reiserは現在も収監中だ。このことからReiserFSの評判は大きく下がり、また、ジャーナリングファイルシステムとしてBtrfsやext4の勢いが増してきたことから、ほとんどのディストリビューターがReiserFSのサポートを終了した。メインラインでも2022年5月のLinux 5.18で非推奨となり、2023年10月のLinux 6.6ではメインラインサポートが終了、2025年にカーネルから完全に削除する決定が行われ、このことは獄中のReiserにも伝えられていた。