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【PM講座#5/12】定量的に進捗管理できていますか?【プロジェクトマネジメントの教室】

要約:

■ 立ち上げ

  • 目的: 大枠のスケジュールを関係者間で合意する。
  • 実施事項:
    • プロジェクト憲章の作成: プロジェクトの主要なマイルストーン(要件定義は〇月末、ベータ版は〇月末など)を記述し、全体像を共有する。
    • 重要な期限の認識合わせ: 年内リリースや法的期限など、クリティカルなマイルストーンについて認識を合わせる。

■ 計画

  • 目的: 詳細なスケジュールを作成する。
  • 実施事項:
    • 1. スケジュールマネジメント計画の策定: スケジュールをどのように作成・管理するか、そのルールや手法を決定する。
    • 2. アクティビティの定義: WBS(Work Breakdown Structure)を用いて、やるべきことを作業可能な単位(アクティビティ)まで分解する。スコープ管理と密接に関連している。
    • 3. アクティビティ所要期間の見積もり: 各アクティビティを完了させるために必要な人員や資材を検討し、所要期間を見積もる。
    • 4. アクティビティの順序関係の検討: アクティビティ間の依存関係を明確にし、ネットワークダイアグラムで可視化する。
      • クリティカルパスの特定: 開始から終了までの最も長い経路(クリティカルパス)を特定する。この経路が遅延すると、プロジェクト全体の遅延に直結する。
    • 5. スケジュールの作成: ガントチャートなどを用いて、全てのアクティビティの期間と依存関係を統合したスケジュールを作成する。

■ スケジュール策定のポイント

  • スコープとの整合性: スコープ(やるべきことの全体量)とスケジュールに整合性があるか確認する。
  • リソースと稼働率の考慮: 人員や設備などのリソース、およびその稼働率を考慮し、無理のない計画を立てる。
  • バッファの設定: 予期せぬリスクに備え、スケジュールに余裕(バッファ)を持たせる。一般的に、スケジュール全体の3%程度が推奨される。
  • ステークホルダーのレビューと承認: 関係者からのレビューと承認を得て、スケジュールをベースラインとして確定する。
  • アジャイルにおけるスケジュール管理:
    • ウォーターフォールモデルのように最初に詳細なスコープを定義するのではなく、プロダクトビジョンといった大きなスコープを設定する。
    • リリース時期の目標に向け、スプリント(決められた短い期間)ごとに計画を柔軟に策定・実行する。
    • スケジュールのベースラインは作らず、状況に応じて柔軟に調整する。

■ 実行

  • 目的: 計画されたスケジュールに沿って作業を進行させる。
  • 実施事項:
    • 進捗確認: 計画に沿って作業が行われているか確認する。
    • 作業指示: 各アクティビティを担当者に明確に割り当て、開始・完了時期を共有する。

■ 監視・コントロール

  • 目的: 進捗を監視し、必要に応じて修正・調整する。
  • 実施事項:
    • 1. 定量的管理: スケジュールのベースラインと現状の進捗を常に比較し、定量的に把握する。
      • EVM(Earned Value Management): 出来高を数値化して管理する手法である。計画された出来高(Planned Value)と実際に得られた出来高(Earned Value)を比較することで、進捗の遅れや進み具合を客観的に判断できる。
    • 2. 逸脱への是正措置: 遅延が検知された場合、リソースの追加、作業順序の変更、スコープの削減など、是正措置をタイムリーに実行する。
    • 3. ステークホルダーへの合意形成: スケジュール変更が発生した場合、そのインパクトを関係者に説明し、合意を得る。合意された変更は、新たなベースラインとして設定・周知する。

■ 終結

  • 目的: プロジェクトがスケジュール通りに完了したかを確認し、正式にクローズする。
  • 実施事項:
    • 完了確認: 当初のスケジュール通りに完了したかを確認する。