■ 1. オーナーシップを持てない原因
- 越境の困難さ:
- アンチパターン: ソフトウェアエンジニアが、プロダクトの仕様やビジネス上の解決策に対して意見を言いにくい構造が存在する。
- ベンダー(外部委託): 産業構造上、発注者の要求をそのまま受け入れるインセンティブが強く、より良い解決策を提案する動機が薄い。
- 内製:
- 「仕様の実現が仕事」という誤った認識を持つ組織がある。
- 「余計な仕事をさせたくない」という善意や、「相手の考えをひっくり返すのは悪い」という過剰な遠慮が、議論の妨げになっている。
- 注意: そもそもエンジニア自身がオーナーシップを持ちたくない場合は、議論の対象外である。
■ 2. オーナーシップのレベル分け
- 3つの段階: オーナーシップには以下の3つのレベルが存在する。
- システムに対するオーナーシップ: 障害対応や他者の問題解決など、明確に任されていないシステムの部分にも積極的に関わること。
- プロダクトに対するオーナーシップ: ユーザー課題を解決するため、仕様に対してより良い提案をすること。
- ビジネスに対するオーナーシップ: プロジェクトの制約(コスト、人員、納期など)を考慮し、現実的な解決策を提案すること。
■ 3. オーナーシップ獲得のステップ
- 段階的なアプローチ:
- まず、獲得しやすいシステムに対するオーナーシップから始めるべきである。
- システムに対する積極的な関わりは、周囲(非エンジニア)からの信頼獲得につながる。
- この信頼を基盤として、プロダクトやビジネスへの口出し・手出しが可能になり、より高いレベルのオーナーシップを持つことができる。
■ 4. 組織と個人の対応
- 硬直した組織: 非常に硬直した組織では、このアプローチが通用しない場合もある。その場合は、無理に立ち向かわず、別の場所で経験を積むことも一つの選択肢である。
- 個人のマインド: 本人も周囲もオーナーシップを望んでいるにもかかわらず持てない場合は、越境を阻む構造を認識し、段階的に行動を起こすことが解決策となる。