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ドキュメントはAIの味方!スタートアップのアジャイルを加速するADR

要約:

■ 1. AI時代のドキュメントのあり方

  • アジャイルとドキュメント: アジャイルソフトウェア開発では、ドキュメントより対話や変化への対応が重視されてきた。しかし、AI時代には、AIとの対話や協調、変化への対応をスムーズに進めるための「意味のあるドキュメント」が必要不可欠となる。
  • ドキュメントの役割:
    • 対話のスケール: 意思決定の「なぜ」と「何」を記録し、継続的・正確な対話を可能にする。
    • 知識の共有: 人間とAIが共有できる「知識の種」となる。
    • 変化の適応: 過去の履歴を「足跡」として残し、それを基に未来の更新や提案を行う。

■ 2. 従来のドキュメントの悩みとAIによる解決

  • 一般的な悩み:
    • 「探せない」「バラバラ」: 情報が分散し、必要な情報を見つけられない。
    • 「読まれない」「残らない」「更新されない」: ドキュメントが活用されない。
    • 「時間がかかる」: ドキュメント作成に手間がかかる。
  • AIによる解決:
    • 探す・まとめる: AIが文書内を検索・要約し、情報を探してくれる。
    • 書く: AIとの共作により、ドキュメント作成の時間を大幅に短縮できる。
    • 残す・更新する: AIへの指示が必要となるため、人間が主導権を握る必要がある。

■ 3. 「ADR(Any Decision Record)」の導入

  • 課題解決: 従来のADR(Architecture Decision Record)は、アーキテクチャ以外の意思決定を記録しにくい、粒度が不明瞭、組織に定着しにくいといった課題があった。
  • 「全部残す」文化: Dress Code株式会社では、これらの課題を解決するため「ADR(Any Decision Record)」という考え方を採用している。
    • 記録対象: どんな小さな意思決定もドキュメントとして記録する。
    • ツール: Notionをドキュメントツールとして利用し、Notion AIを活用している。
    • 文化の定着: ドキュメントを書くためのきっかけ作りとして、毎週の書き溜めやSlackでのスタンプによるストック、フィードバックの共有会などを設けている。
  • メリット:
    • 検索性向上: 「Notion AI」が代わりに見つけてくれるようになる。
    • 粒度の問題解消: 領域や大小に関わらず記録するため、粒度に悩まなくなる。
    • オンボーディングの効率化: 新入社員が「Notion AI」に質問することで、過去の意思決定の経緯を簡単に把握できる。

■ 4. 今後の改善点

  • 更新されない問題: 最終更新日や編集者の表示は行っているが、依然としてドキュメントが更新されないという課題は残っている。
  • 仕様記載の場所: 仕様をADRに含めるか、PBI(product backlog item)に記載するかという判断に迷いが生じることがある。現状は、ADRを書いてPBIにリンクさせている。
  • 作成者への感謝: ドキュメントを作成した人への感謝を表現する文化をさらに醸成する必要がある。