/note/tech

入社1年目からPMとして活躍する組織の育て方

要約:

■ 1. 若手PMの育成を阻む一般的な問題

  • PMの仕事の属人化:
    • 課題の存在: 特定のベテランPMにしかできない仕事が多く、仕事内容が言語化されずに暗黙知として扱われるため、新人に仕事を任せられない。
  • 組織が求めるPM像の不統一:
    • 方向性のブレ: シニアPMの経験に基づくPM像がバラバラで、組織として目指す共通のPM像(ゴール)を持てず、PM育成の方向性が定まらない。
  • 失敗を許容しない文化:
    • 挑戦の阻害: 失敗を強く非難する文化では、PMの仕事に付きもののリスクを取ることを新人が恐れ、新しい挑戦ができなくなり、組織の成長が停滞する。

■ 2. 1年目からPMを育てるための3つのステップ

■■ 1. PMの思考の「型」を共有する

  • 思考プロセスの言語化: ベテランPMが無意識で行う意思決定を支える思考プロセスを「型」として言語化し、組織全体で共有する。
  • PMの思考の型(例):
    • 目的の明確化: 「なぜ、この問題を解決するのか?」を常に問い、顧客課題や事業目標との繋がりを明確にする。
    • ユーザー視点: チーム内の憶測ではなく、ヒアリングに基づき「誰にとっての課題なのか?」を定義する習慣をつける。
    • 複数の選択肢の検討: 最初に思いついた解決策に飛びつかず、「解決策は本当にこれしかないのか?」とメリット・デメリットを比較検討する。
    • ゴールの言語化: 「良い感じ」ではなく、定量的な指標(KGI/KPI)で成功を定義し、チーム全員で同じゴールを目指す。

■■ 2. PMの仕事を、体系を理解したメンターがレクチャーする

  • 段階的な責任範囲の拡大: PMの仕事を難易度で分解し、新人が小さな成功体験を積み重ねられるように徐々に任せる範囲を広げる。
  • 体系的なメンタリング: 忙しい先輩による場当たり的なOJTではなく、PMの仕事の全体像や思考の型を理解し、「なぜそのタスクをやるのか」「失敗から何を学ぶべきか」を言語化して教えられる専任のメンターをつける。
  • PMの仕事の分解例:
    • フェーズ1(部分的な担当): 既存PMのタスクの一部(議事録作成、データ収集)や、既存プロダクトの小さな機能改善を任せ、仕事の流れを一人で経験させる。
    • フェーズ2(責任範囲の拡大): 決済機能などプロダクトの特定領域や、ステークホルダーが少ない小規模プロジェクトのPMを任せ、企画から運用まで一貫して担当させる。

■■ 3. 成功と失敗から学ぶ「サイクル」を組織に組み込み、積極的に外部に発信する

  • 組織としての学びの習慣化: 個人の経験をチームや組織全体の「学び」に変え、常に成長し続けられる仕組みを作る。
  • 学びの共有会の開催: 成功・失敗を問わず、プロジェクトの「学び」をオープンに共有し、次のプロジェクトに活かすための議論の場を定期的に設ける。
  • ナレッジベースの構築: プロジェクトの振り返りや意思決定の経緯など、「なぜその判断をしたのか?」という思考プロセスをドキュメント化して蓄積し、組織の知見を効率的に学べるようにする。
  • 発信・共有の習慣化: 社内共有だけでなく、ブログ記事や登壇資料など外部への発信機会を設けることで、思考をより深く整理し、社外のフィードバックを得て学びを深める。

■ 3. まとめ

  • PM組織成長の鍵: PMの仕事を「見える化」し、「メンター」をつけ、「学びのサイクル」を組織に根付かせることで、「経験者じゃないとPMは無理」という固定観念を打破し、若く才能ある人材を早期に育成できる強い組織を築くことができる。