■ 1. 日本のIT化の現状
- IT利用頻度の低さ: 16歳から24歳の若者が職場や家庭でパソコンを利用する頻度はOECD加盟国中最低水準である
- パソコン保有率の低さ: 日本のパソコン保有率は米国の半分程度で、職場にも十分に普及していない状況である
- 学校教育でのIT不足: コンピュータを使える状況にあると回答した生徒の割合は47カ国中40位以下にとどまる
- 子どものパソコン保有率: 13歳から19歳の約7割がパソコンを保有しておらず、先進国中突出して低い
- スマホ普及の誤解: 諸外国もスマホに加えてパソコンやタブレットを保有しており、知的活動はパソコンで行うという使い分けができている
■ 2. IT化が進まない理由
- 技術力の問題ではない: 日本の技術力は高い部類に入るため、IT活用ができない理由は技術ではなく日本人のマインドにある
- FAX廃止の挫折: 菅政権が各府省のFAX利用取りやめを検討したが反対の声が上がり廃止できなかった
- ハンコ文化への固執: 日本人の特殊なマインドがIT活用を妨げる象徴となっている
■ 3. お辞儀ハンコ問題
- システム化の本末転倒: ハンコを廃止せず画面にハンコの印影を表示させるITシステムをわざわざ開発する企業が存在する
- お辞儀ハンコの実装: 役職によってハンコの傾きを変える機能を実現できるシステムをコストをかけて作る企業がある
- システム会社への要望: お辞儀ハンコができるようにして欲しいという要望が実際に寄せられている
- 本来の目的の喪失: 承認ボタンで事足りるにもかかわらず、わざわざコストをかけてハンコの印影を表示させエライ人にお辞儀をする機能まで付けている
■ 4. IT化の本来の目的
- 業務効率化の意義: システム化をきっかけに業務のムダを洗い出し省略することでビジネスを効率化することが目的である
- 生産性向上の機会: 業務の実態を丁寧に分析すれば承認者を減らせる可能性があり、システム化をきっかけに生産性が向上する
- 逆効果の実態: 従来と同じことをシステムで行うとシステム費用分だけ逆にコストが増える結果になる
■ 5. 日本社会の根本的問題
- 承認欲求と儀式: 稟議書にハンコを押す行為には役職者の承認欲求を満たす作用があり、その行為をIT化することに抵抗がある
- 上下関係の固執: 日本人のコミュニケーションは相手との上下関係が基本で、上に立つ人は常にマウントをとってその立場を維持しようとする
- 不寛容な組織文化: ITを導入する状況に至っても上下関係を基軸にした不寛容な組織文化を死守しようとしている
- 儀式化の特異性: 上司が部下に威張る光景は諸外国でも見られるが、こうした関係性を儀式化しITにも実装しようとする国は日本以外に存在しない
- マインドの問題: ムダがなくならず長時間残業を抑制できない原因は技術の問題ではなく完全にマインドの問題である