https://anond.hatelabo.jp/20251004160446
この「コミュニケーション能力や国語の読み書き能力が重要だ」と言われた、という様な増田の記事がバズっているけど、それを読んでいる中でふと疑問に感じたことがあった。
発達障害はITに向いているという「定説」がもうここ10年ですっかり当たり前になっているけど、実際に現場?で言われてることは真逆の意見であることが、Xの反応を見ても思った。
なので、日曜日くらいにざっと調べてみてまとめたものを、書いてみたいと思う。
■ 最古のソースは2001年のサンフランシスコ・Wired誌の記事かららしい
Wired誌の2001年9月12日 「 The Geek Syndrome」という記事が初出、とのこと
当時この雑誌に記者だった「スティーヴ・シルバーマン氏」が「最近シリコンバレーで働いているIT系のパワーカップルの間で自閉症児が増えている」という内容
この記事の中では、「向いているかもしれない」という、当人自身も科学的根拠はないと前置きしたうえで、観測した結果として推測している。
アメリカのIT業界では、これを基にして発達障害=IT向きという様な話が広まっていった経緯があるとのこと。
■ 次によく引用されるソースは2002年のアメリカの心理学者の論文かららしい
米の心理学者S Baron-Cohen博士による「The extreme male brain theory of autism(2002)」という論文から
この論文の内容は、自閉症(発達障害)の脳の認知理論を科学的に研究したもので、別に発達障害がITに向いているという様な内容は一文も存在していなかった
「コンピューターに近い処理の様な思考回路をしている」という様な示唆はあったが。
そこから一種の神話として「発達障害=ITに強い」、とかプログラミング言語に強いといった様な「神話」が流布されていったらしい。
とうのアメリカでは、あくまで経験則というか一種のブラックジョークとしてテック業界で言われているニュアンスに近い、という事を調べていってわかった。
■ 日本に浸透したのは2010年代から
さて、日本で発達障害=IT向きというのが流布され始めたのは2010年代から、当時の書籍の年代を絞り、キーワード検索をすれば、
色んなNHKの番組特集、もしくは教育・啓蒙・ビジネス書が出てくる(あまりに多いので具体例を挙げると文章が長くなるので、上記で調べれば幾らでも出るのであえて割愛する)
どれも科学的根拠は、上で上げたアメリカの論文だとか、雑誌記事の孫引きであることがほとんどだった。
これを見ればわかる様に、科学的根拠はない経験則の様なものらしい。
ではなぜ、あの頃webベンチャーバブル時代、プログラミング言語に特性がある発達障害をあえて雇う、という様な風潮が多かったのだろうか?
調べてみると、「就労支援金」の話が出てきた。
2010年「発達障害者雇用開発助成金の緩和について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12600000/001042644.pdf
これによると、当時発達障害を雇えば一人当たり135万円の助成金が出たらしい。
ひょっとしてひょっとするとだけど、発達障害がITに向いているといって取ったのは、助成金欲しさになのではなかろうか?
もはや15年も昔の話だから、当時のベンチャー経営者なんてほとんど残っていないだろうから、今となっては知るすべがない
で、調べてみて思ったんだけど、発達障害がITに強いって科学的根拠、ないんだよね…