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「全員QA」を30分ミーティングで強くする

要約:

■ 1. 背景と課題

  • 全員QA活動: エムスリーではQAエンジニア以外も品質保証に取り組む体制を構築し、リリースの迅速化とQAエンジニアのアサインに柔軟性を持たせることを目指している
  • 一般的な問題: エンジニア自身がテスト設計・実施を行うと実装の正確性や機能の「作り」に意識が集中し、他機能への影響やビジネス・運用の俯瞰的な観点が抜けやすい
  • コンシューマーチームの課題: 一般的でないユースケースやエッジケースの考慮漏れがQAエンジニアのレビューで多数検出され、改修箇所以外の機能の考慮、古い機能の仕様の属人化、俯瞰的な観点の不足が明らかになった
  • 既存対策の限界: ドキュメント整備やテンプレート作成では、メンテナンスコストの増加と能動的に探さないと参照されない問題があり、複数プロジェクトの掛け持ち状況では時間をかけた対応が困難だった

■ 2. 実施した取り組み

  • リスク洗い出しミーティング: 実装が本格化する前に30分のミーティングを設定し、関係者を集めてリスクについてざっくばらんに話し合う場を設けた
  • 議論の焦点:
    • 非機能要件、ビジネス面・運用面のリスクに集中
    • マインドマップを使用し、「絶対に必要なもの」「欠けてはいけないもの」「起きそうなトラブル」など事前に用意した見出しに沿って議論
    • 実装面ではなく業務フローやユーザの利用状況、運用開始後の問題について話し合った
  • 成果の例: ユーザサポートの担当部署の打診の必要性、アプリリリース時の特殊な準備要件、定期的な大量アクセス発生への対応の必要性などを発見した

■ 3. 工夫と効果

  • 多様な参加者: 様々な立場の関係者を出席させることで、多角的な視点からの考慮漏れの検出と暗黙の了解だった知見の共有を実現し、専門的な知識による深掘りも可能にした
  • 議論の観点: 要件定義や設計、実装の担当の立場から漏れがちな観点を積極的に議論し、プロダクトの目標や使われ方について改めて話題に出すことで認識統一を図った
  • 全体的な効果: 機能開発中に見過ごされがちなプロジェクト全体の視野を取り戻す機会を作り、対話を通じてチームの知見を引き出すことができ、それぞれの専門的な知見を活かしてチーム全体の視点からリスクを捉えることが可能になった