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「タスク遅れに対しての手札をふやす」ことが、マネージャーの立ち回りとして大事だという話

要約:

■ 1. マネージャーの価値とタスク遅れ対処

  • タスク遅れ解決のための手札をどれだけ持っているかがマネージャーの価値である
  • タスク遅れは必ず発生するものであり、必ず対処しなければならない
  • タスク遅れに対してどんな手を打てるかは組織次第、状況次第で変わる
  • タスク遅れ解決のための手札をなるべく増やすように、普段から立ち回りを意識することが重要である

■ 2. タスク遅れが必ず発生する理由

  • 工期の見積もりはあくまで見積もりでしかなく、完璧な見積もりは絵に描いた餅である
  • プロジェクト遂行中のトラブル:
    • エスパーでないと予知できないトラブルが発生する
    • メンバーが体調を崩したりサボることもある
    • タスクが難しすぎたり、依存関係が複雑過ぎて手がつけられないこともある
  • タスクごとにリスクを計ってマージンを作るが、存在するマージンは基本的に全て食い潰されるため、大抵それ以上にタスクは遅れる

■ 3. タスク遅れに対する手札の三つの分類

  • 人的リソースでなんとかする:
    • やる人の手を増やしたり、費やす時間を増やすことで対処する方法である
    • 残業時間を増やす、対応メンバーを追加する、誰かに手伝ってもらう、出来る人を連れてきてもらうなどが含まれる
    • 一番分かりやすいが故にマネージャーにとっては安易に頼ってしまいがちな方法である
    • 頑張るしか手札を持っていない人である場合、時々悲劇が発生することもある
    • 人的リソース以外の手札を何枚持っているかがマネージャーの有能さを示す一つの指標である
  • 調整でなんとかする:
    • 他の担当チームやクライアントと相談してスケジュールを延ばしてもらう、実装する機能のスコープを見直してタスク自体をスケールダウンする、機能を簡易化してタスクの難易度を下げる、上にエスカレーションするなどが含まれる
    • 人的リソースでなんとかするよりもマネージャーにとっての難易度は高い傾向がある
    • 組織によっても仕事の質によってもどれだけの選択肢がとれるかは変わる
    • タスク遅れと言われた場合、この辺の選択肢がマネージャーに期待される部分は大きい
  • プロセスをなんとかする:
    • レビューや事務手続きで時間を食い過ぎている場合、リスクをとったり簡略化してプロセスを改善する、メールのやり取りで時間を食っている場合は拠点を移して対面で話せるようにするなどが含まれる
    • 開発手法を変更する、ツールでテストを自動化する、作業を分割して開発を並列化する、クリティカルパスの見直しや後工程を前倒しで始めることで全体としての遅れを吸収するなどの方法もある
    • 遅れが顕在化してからよりも普段からの準備が重要である
    • 一般的には三つの中で一番難易度が高いケースが多い
    • マネージャーにとっては腕の見せ所である
    • 下手にプロセスをいじると逆効果になることもある

■ 4. マネージャーが把握すべき三つの観点

  • マネージャーとしての自分はタスク遅れの対応策を幾つ知っているか
  • そのうち現在の環境、現在のプロジェクトで実際に取り得る対応策はどれか
  • そのうち最も効果的でなるべくコストを低減できる対応策はどれか

■ 5. 環境による制約と手札の確保

  • タスク遅れの対応策は環境、仕事の種類によって選択できるものが変わる
  • クライアントとの関係次第ではスケジュールの調整ができないかもしれない
  • 品質は絶対厳守でテスト工数は絶対に減らせないかもしれない
  • 有識者を連れてこようにも他チームも全部炎上しているかもしれない
  • 頑張る以外の手札をどれだけ用意できるか、調整とプロセスからそれぞれ二枚、三枚の手札を選択できるだけの余地を確保できているかが重要である

■ 6. 普段からの立ち回りの重要性

  • 常に使い得る手札を把握しておき、できることならその枚数を増やせるように立ち回っておくことがマネージャーとして非常に重要である
  • 事前準備の具体例:
    • 常日頃から他チームといい関係を築いておき、いざという時にはヘルプを求められるよう恩も売っておく
    • スコープの見直しの可能性やリスクについて事前にクライアントと調整しておき、いざという時は切り捨てても良い機能や品質の落とし所について確認しておく
  • リスク計画はプロジェクトの立ち上げ時点で個別に考えておくべきテーマであるが、普段からの立ち回りで事前準備が必要な部分でもある
  • タスク遅れという分かりやすいピンチでどういう手札を持っているかはマネージャーとしての一番の価値である
  • 手札を増やす努力自体が会社での自分の立ち位置を向上させていくための努力とほぼイコールになる

■ 7. 具体的な解決事例

  • 新人マネージャーが一つの開発環境内で全部解決しようとして色々引っかかっていた
  • もう一つ環境を作ってそのリソースを使えば解決できるというアドバイスで解決に向かった
  • 解決できそうな人に事前に渡りをつけておくこともマネージャーとしての価値を高めるための一つの方法である