■ 1. 画像生成AIの現状認識(2022年から2025年の変化)
- 2022年時点では画像生成AIの存在が認知され始めた段階だったが、2025年現在では小学生や高齢者も普通に使いこなしている
- 当時から「明るい未来はあまりない」と予測していたが、実際にイラストレーターの仕事は奪われつつある現実となった
- イラストの単価が3分の1になっているとの報告もある
- 生成AIに対する抵抗運動(訴訟、ボイコット、ネガティブキャンペーン、プロテクト技術の使用など)が展開されているが、大局的には勝ち目がない
■ 2. AIによる学習と著作権問題の本質
- 流行している絵の描き方パターンをAIに学習させて発表する行為は、人間の絵描きや漫画家が昔から行ってきたことと本質的に同じである
- 漫画家は現在も活動している漫画家の作品パターンを頭の中で混ぜて創作しているため、AIがそれを行うことを非難するのは矛盾している
- オリジナリティとは混ぜ方の中に自分が生きているかどうかの問題である
- 自分が苦労して編み出した表現をAIに盗まれるという感情は理解できるが、この論法では勝ち目がない
■ 3. イラスト業界の段階的淘汰
- 第一段階(過去3年間): イラスト屋などの無料配布により、地方自治体や小規模商店向けに仕事をしていた町のイラストレーターが淘汰された
- 第二段階(今後): 超メジャーではない中堅イラストレーターの仕事が奪われる
- 超メジャーなクリエイター(鳥山明、大友克洋、尾田栄一郎など)のみが「その人が描いてくれただけで価値がある」という理由で生き残る
■ 4. アニメーション制作の変革
- アニメの作画は無人化が進む
- 演出家は見せたいカットを人間に発注し、流してよいカットをAIに発注するという使い分けを行う
- AIは書き込みが多く影が複雑な動きに向いており、人間のアニメーターに負担をかけていた作業を担当する
- 結果としてアニメーションのクオリティは向上し制作コストは下がるが、動画マンは職を失う可能性が高い
- 原画マンは生き残る可能性があるが、動画マンの将来は厳しい
■ 5. 漫画制作へのAI浸透
- コマ割りや見開きの見せ方などの漫画文法もAIのディープラーニング対象となる
- 漫画が量産されるほどデータが蓄積され、AIによる自動生成が可能になる
- 数年以内に可能になることは明らかである
- 話し言葉のコンテンツを数秒後に漫画化したり、ゆっくり解説動画にする技術が実現する
■ 6. YouTuberとコンテンツクリエイターの未来
- あらゆるYouTuberがほとんど失業する未来がある程度見えており、その中間段階が進行している
- 切り取り動画の制作(過去の発言と現在の発言を混ぜて面白くする作業)すらAIができるようになる
- キャラクターとしての価値が重要になり、本人が話すことよりもキャラクターが話しそうなことをAIが生成する方が面白くなる
- 数十万人が考えたキャラクターらしい発言の方が、現実の本人の発言より面白くなるのは時代の必然である
- これはシンギュラリティではなく失業ポイントに向けて進んでいる過程である
■ 7. 新しい仕掛けと失業の連鎖
- ニコニコ生放送などの新しい仕掛けによって多くの人が失業してきた
- その屍の上に現在の成功者が乗っかって商売をしている
- この構造もいずれ崩れていくのは当たり前である
- 恐ろしい未来ではなく、そうなったら次の面白いことを考えるだけである
■ 8. 生き残るクリエイターの条件
- 超優秀なアニメーター、漫画家、絵師は生き残る
- しかし大半の漫画家は職業として成立しなくなる
- アシスタントも同様に厳しい状況に直面する
■ 9. 変化の時間軸予測
- 3年程度で大きな変化が目に見えるようになる
- 食える食えないという最終的な変化には10年程度かかる
- 中間的なポジションにいるクリエイターが本当に危機に直面するまでには5年から10年かかる
- この予測は先取りしすぎているため多くの人は実感できず疑問視するが、5年後10年後には確実に実現する
- 「そうなるべきではない」と考えているとずれてしまうため、時代はそういうものだと認識すべきである
■ 10. 発注型仕事の消滅
- 誰かからお金をもらって発注を受けリクエスト通りに制作する仕事は失われ続ける
- 観光地の似顔絵やディズニーランドのシルエット切り絵のようなサービスは、2000円~3000円の技術料が必要だが、無料で類似のものができる状況では生き残れない
- 超メジャーなネームバリューのある人以外は生き残れない
■ 11. アートから手芸への移行
- 人類に残されたのは自分にしかできない、自分が手を動かして作った趣味をめでるという方向性である
- 現在の手芸ブームはこの流れを反映している
- アートや作品としてではなく、趣味としての手芸として素晴らしいという価値観に流れている
- アートはAIに奪われているため、人間は自分が本当に手を動かして作ったものを愛でる方向に向かっている
■ 12. 現状追認と説得の意図
- この発言は現状追認ではなく、現状を認められない人を説得しようとしている
- 「AIはダメだ」「人間にしかできないクリエイティビティがある」と言う方が、人前で話をする立場としては商売になる
- それを理解しながらも、こだわり続けると苦しいという助言をしてしまう
- カメラに向かって話をする活動自体も、あと何年何ヶ月続けられるか分からない
■ 13. 自動化の波及と共通の運命
- 来月は無理でも来年、再来年には話す内容の自動化が見えてきている
- 全員が同じタイタニック号に乗っている状況である
- 逃げる先は新しい稼ぎ先ではなく手芸のようなものしかない
- この問題に対する明確な解決策は見出せていない