■ 1. インターネットアーカイブの到達点と記念行事
- 2025年10月までに保存したウェブページ数が1兆件に到達
- 記念イベント「The Web We've Built」を2025年10月22日に開催
- サンフランシスコ市議会が同日を「インターネットアーカイブの日」に認定
- 30年近くサンフランシスコに拠点を置き1兆ページ超のウェブを保存した功績が評価された
■ 2. インターネットアーカイブの重要性
- スタンフォード大学研究者の見解:
- 過去が常に現在を形作るためウェブページ保存が重要
- 過去は現在が今のままである必要がないことを教える
- 次のフェーズ:
- 3D環境やオンラインゲームなどデジタル構築体験の保存方法を模索
■ 3. National Emergency Libraryをめぐる訴訟
- 2020年3月にコロナ禍対応として140万冊のデジタル書籍を提供開始
- インターネットアーカイブはフェアユースと主張したが出版社が著作権侵害として提訴
- 敗訴により50万冊の書籍が貸出リストから削除された
- プロジェクトの目的:
- Wikipediaが書籍スキャン画像にリンクできるようにする
- 研究者の電子書籍参照を容易にする
- 創設者ケール氏の批判:
- 数十億ドル規模の巨大メディアコングロマリットが情報の流れをコントロールすることに独自の利益を持つ
- Wikipediaの読者が書籍にアクセスできないようにすることに成功した
■ 4. Great 78プロジェクトをめぐる訴訟
- 数十万枚のレコードをデジタル化してオンライン上で保存・公開
- 2025年4月に音楽レーベルから6億9300万ドル(約990億円)の賠償金請求
- 2025年10月に非公開条件で和解が成立
■ 5. 訴訟後の現状と評価
- 2025年10月時点で大規模な訴訟やコレクションへの脅威には直面していない
- ケール氏のコメント:
- 生き延びたがライブラリの一部は消滅した
- 再建と再定義の段階に入っている
- 法廷闘争の本質:
- クリエイターや出版者ではなく大手メディア企業との争い
- 著作権による制限に満足せず、それ以上を望む企業との対立
- 企業はWayback Machineの終焉を望んでいたと推測
■ 6. 図書館の役割に関する議論
- 著作権弁護士コートニー氏の主張:
- 図書館がHuluやNetflixになることを望んでいない
- 文化の保存と知識への平等なアクセス提供という役割を果たしたい
- 遠隔アクセスは高齢者、障害者、地方住民、海外派遣時に有益
- 著作権弁護士バトラー氏の指摘:
- 他の図書館も重要な法廷闘争に直面
- 出版者の高額訴訟の恐れから保存のためのデジタル化が遅延する可能性
- 訴訟は誰が文化的記録を保存できるのかという社会的課題を浮き彫りにした
■ 7. 今後の展開と懸念
- Democracies Libraryプロジェクトの拡大:
- 世界中の政府の研究と出版物を収録した無料オープンなオンライン集成
- Wikipediaとリンクして研究者の情報アクセスを向上
- AI発展による懸念:
- AI企業がクリエイターや出版者から多数の訴訟を提起されている
- 企業による情報への支配力が高まる傾向
- アーカイブプロジェクトが多方面からの攻撃に耐えられるか不透明
■ 8. ケール氏の提案
- 著作権法の再構築を提唱:
- 著者、出版者、書店が十分な報酬を得る
- 図書館の使命が尊重される
- 進歩が促進される
- 多くの勝者がいるゲームの実現を目指す
- 誰もが読者になるために多くの出版社、販売業者、書店、図書館が必要