■ 1. GrapheneOSの概要
- 特徴:
- オープンソースで開発されているセキュリティとプライバシー保護に特化したAndroid系OS
- Google Pixelなどを安全に使うために利用されている
- 問題点:
- セキュリティの高さから麻薬密売人などに使用されることがある
- プライバシーを保護する機能が強力ということは悪事を働いても露見しにくいということにもなる
■ 2. フランス政府との対立経緯
- フランス政府の姿勢:
- 以前から「GrapheneOSは犯罪者向けのもの」と表現するなど敵対視していた
- フランスの治安当局が「隠れて生きる意思を裏付けるもの」として使用することが罪であるかのような調査報告を出したことがある
- GrapheneOSの反論:
- フランス当局の姿勢に反発
- 「ヨーロッパの独裁政権や政権を支持するメディアで、GrapheneOSやPixelを犯罪者向け製品であるかのような誤った表現が使われている」と非難
- 「GrapheneOSはこれらの勢力が全員に強要しようとしている大規模監視警察国家に反対している」と表明
■ 3. Le Parisienの報道(2025年11月19日)
- 報道の内容:
- フランスのメディア・Le Parisienで「Google PixelとGrapheneOS:麻薬密売人が警察からデータを守るための秘密兵器」というニュースが報道された
- GrapheneOSの反応:
- メディアおよびジャーナリストに対し「GrapheneOSについて根拠のない、そして明らかに虚偽の主張をするためのプラットフォームを提供しながら、それらの主張を確認し反論する機会をまったく提供していない」と憤りを示した
- 検察当局者の発言:
- 「GrapheneOSは犯罪組織とのつながりがあり、捜査に協力しないのであれば法的措置に出る」とコメントが掲載された
- GrapheneOSはこれを「事実無根であり、国家による法的脅迫だ」と問題視
■ 4. 機能に関する誤解
- フランス当局の主張:
- GrapheneOSがアクセス時にデータを消去する機能や偽アプリを含む犯罪者向けのOSと主張
- GrapheneOSの反論:
- それらの機能は公式版には存在しない
- オープンソースとして公開しているGrapheneOSの悪質なクローンや非公式版と混同されている
■ 5. フランスからの撤退発表
- 撤退の理由:
- フランスはオープンソースのプライバシープロジェクトにとってもはや安全ではない国であると判断
- プロジェクトとユーザーを守るため今後はフランスへの進出を完全に避ける方針
- フランスの政府機関と法執行機関の行動と発言が極めて懸念すべき点
- GrapheneOSについて極めて不正確で中傷的な主張をしながら明らかに措置を正当化しようとしている
- 「彼らは手の内を見せたので、何か悪いことが起こる前にフランスから撤退する」と表明
■ 6. インフラ移行計画
- 従来のインフラ:
- 公式サイトやソーシャルメディアなどの主要インフラをフランスに本社を置くヨーロッパ最大のクラウドコンピューティングサービスであるOVHに依存していた
- 移行先:
- MastodonやオンラインコミュニティプラットフォームのDiscourseなどをカナダのローカルサーバーと共有サーバーの組み合わせに移行
- 重要なウェブサイトインフラはドイツに拠点を置くウェブホスティングサービスのNetcupに移行
- OVHから脱却する
- 開発者の制限:
- 安全上の懸念からGrapheneOSの開発者たちはフランス国内での作業を禁止している
■ 7. 今後の方針
- AOSPへの貢献:
- 法執行機関やフォレンジック企業が捜査においてAndroid端末を突破するために使用している脆弱性をGrapheneOSで修正することを目指す
- AOSP(Android Open Source Project)に貢献していくと表明
- Googleへの呼びかけ:
- 「Googleからのご連絡をお待ちしております」と述べている