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Z世代に多い「褒められると伸びるタイプです」と自分で言ってしまう人には、マネジメント上かなり...

Z世代に多い「褒められると伸びるタイプです」と自分で言ってしまう人には、マネジメント上かなり注意したほうがいい。もちろん、承認が動機づけになる人は多いし、褒めること自体は悪じゃない。問題は、その言葉が単なる自己理解ではなく、責任の所在のすり替えとして使われること。本人は無邪気に言っているようで、実はその一言の中に「成長にとって致命的な壁」がある。

自分が成長できるかどうかは相手がどう接するかで決まる。言い換えると、自分は変わらずに環境や他人を変えようとしている。これは成長の方向とは真逆のマインドセット。成長のアクセルを他人の手に渡している状態。

厄介なのは、このタイプは褒めを「免罪符」や「取引条件」として使うことがある点。「褒めてくれないなら、成長できなくても仕方ない」という責任回避。承認がなくなった瞬間にエンジンが止まる。もっと悪いと、承認がない状態を「不当な扱い」と感じて不満や被害者意識へと変換する。

この構造の裏側には、心理的な防衛がある。過剰なプライド、あるいは自尊心の脆さ。自尊心が不安定な人ほど外部からの承認に依存しやすい。褒められると嬉しいのではなく、褒められないと崩れる。ここが根っこだと、指摘を受け入れる器が小さくなる。なぜなら指摘は、本人の中では改善提案ではなく自分の価値への攻撃として処理するから。自己評価が脅かされると人は合理性より防衛に走る。反論する、言い訳する、話を逸らす、黙る、落ち込む、拗ねる。表面的には反省して見せるけど内面では反省していない。この現象は珍しくない。

ここで重要なのは「反省の言葉」と「反省の中身」は別物だということ。とりあえず謝る、とりあえず「すみません」と言う、とりあえず「気をつけます」と言う。これを繰り返すと、本人の中で反省っぽいことを言えばその場を切り抜けられるという学習が成立し、負の成功体験が生まれる。反省の言葉を言うことで、叱責や不快から逃げられる。それが報酬になってしまう。結果、行動は変わらない。本人が悪意を持っているわけではなく、学習の結果として「反省の言葉」だけが巧妙になる。言葉は良いのに成長がない。謝るのに同じミスを繰り返す。こういう人を放置してはいけない。

では、どうマネジメントするべきか。このタイプの人を伸ばすには、まず「褒められると伸びる」という自己定義が、成長とは逆向きになることを本人に理解させないといけない。そのうえで「すごい」「偉い」みたいな人格承認ではなく「何をどうやったか」という行動承認に寄せる。努力やプロセスを承認すると成長マインドセットが育ちやすい。再現性のある行動を承認することで「気分の報酬」ではなく「行動の強化」につなげる。

次に、成長とはフィードバックによって行動の引き出しを増やすことだと繰り返し教え、認知の再構成をさせる。本人の中で「指摘=攻撃」から「指摘=武器が増える」に変換できたら受け取り方が変わる。

そして、反省の言葉ではなく次の行動でしか評価しないこと。「すみませんでした」では終わらせず「次に何を変える?」「明日から何をやめる?」「同じ状況で、次はどう動く?」まで必ず言語化させる。さらに「いつ確認するか」まで決める。曖昧な反省は変化を生まない。具体の行動だけが変化を生む。この運用を続けると「反省っぽいことを言って逃げる」学習が崩れていく。本人は最初しんどい。なぜならこれまでの防衛が通用しないから。でも、ここで初めて本当の成長が始まる。

「褒められると伸びるタイプ」という自己申告が危険なのは、褒めが必要だからではなく、成長の責任を外に置いてしまいやすいから。成長する人は褒められなくても伸びる。褒められたら加速する、くらいの位置づけにしている。伸びない人は、褒められないと止まる。そして止まった理由を環境のせいにする。この差は能力の差ではなくマインドセットの差。マネージャーの仕事は、そのマインドセットを本人に与え、成長の責任を本人に戻し、承認を依存ではなく強化として使い、反省を言葉ではなく行動に変える設計を作ること。

このプロセスを踏めるようになると、外部承認に依存する人、自尊心が脆い人、プライドが高い人、反省の言葉が上手い人など、マネジメント難易度が比較的高い部下をマネジメントできるようになる。

@masanydayo