■ 1. 記事の概要
- インディーゲーム開発者として15年の経験を持つTom Francis氏が4つのアドバイスを公開
- Tom Francis氏はインディー開発スタジオSuspicious Developmentsの代表
- 過去作品:
- ステルスパズル『Gunpoint』
- 宇宙船潜入アクション『Heat Signature』
- ターン制戦略パズル『Tactical Breach Wizards』
- 『Gunpoint』と『Tactical Breach Wizards』はSteamで約1万件のユーザーレビューを得て98%という高い好評率で「圧倒的に好評」を獲得
- ゲーム開発における成功の定義:
- 売上や賞賛の数ではない
- 快適なペースで次のゲームを開発できるという確信が持てるかどうか
- 持続可能な形で長期にわたって開発を続けるためのテクニックを紹介
■ 2. アドバイス1: できる限り小規模であり続けること
- 規模拡大のデメリット:
- チームの規模を拡大すれば開発が速く進み成功確率も上がるように思えるが現実は逆になりがち
- 人員が倍になれば必要な売上も倍になるため単純に成功確率がどんどん減っていく
- 実体験:
- 2013年の『Gunpoint』がヒットした後に開発規模を大きく上げていたら次作は駄作となりその後はリリースできなかっただろう
- 2017年リリースの『Heat Signature』は開発が難航
- 開発期間が短ければひどい状態でリリースせざるを得なかった
- ゲームが良い状態になるまでテストと開発を続けられるだけの規模を保ったからこそ変わらずにヒット作をリリースし続けられた
- 昨今のゲーム業界におけるレイオフについて:
- 人員増加によってレイオフやスタジオの閉鎖が起こるのであれば本当の意味の雇用創出にはなっていない
- 情勢に左右されにくいという面でも小規模な開発を続けることは効果的
■ 3. アドバイス2: 短期間で試作品を作れる企画を選ぶこと
- プロトタイプの定義:
- 単なる技術検証に限らず「ゲームの良さが伝わる最低限の形」を指す
- 最終的なビジュアルのクオリティを想定したアート重視のプロトタイプ
- ストーリーの冒頭を構築したナラティブのプロトタイプなども含まれる
- プロトタイプのメリット:
- 結果によって残りの時間の使い方が明確になる
- ゲームがどこに向かっているのかチームで確認できる
- プロトタイプの重要な条件:
- プロトタイプを作るだけで何年もかかるのであればプロトタイプの役割を果たさない
- ゲームのアイデアが機能するかを方針を変える時間があるうちに確かめることが目的
- 失ってもいい時間の中で作れるかどうかが重要
- どんなに素晴らしいアイデアでもプロトタイプ化できないならばインディーゲーム向きではない可能性がある
- プロトタイプを作ってあらかじめ「安全確認」をおこなうことはリスクを避けるための鍵
■ 4. アドバイス3: テストの重要性(特効薬)
- テストは時間も手間もかかるがテスト不足のまま発売することほど高くつくものはない
- 「ゲームを良くする」段階に時間を取れない場合には大きな問題になる
- テストの進め方:
- まずは社内向けのプロトタイプをほかの人が遊べる形にする
- 最初は少人数のテストでも構わない
- 少人数テストで得られるフィードバックは真に受け過ぎず深刻な問題などを修正するために利用する
- コンテンツが揃っていなくとも大規模なテストを実施することを推奨
- 目安は100人以上/多ければ2000人規模
- フィードバックの集め方:
- Googleフォームを用いてフィードバックを集める
- 10点満点でゲームを評価してもらう
- ゲームを本気で嫌っていた人の文句なのか解決しやすそうな小さな不満なのかをフィルタリングできる
- 人々がプレイしている様子を直接見るテストも重要:
- 『Heat Signature』では物理法則に基づく宇宙船の動きの制御に苦戦するプレイヤーが多いことを知り便利な機能の追加に繋げることができた
- 奇抜なゲームを作りたい人ほどテストをするべき:
- テストはプレイヤーに何を変更するべきか訊いて仕方なくそれに従うものではない
- 最終的に決定を下すのはゲームデザイナーである自分自身
- テストの質問も自分で決められるため達成したい目標に合わせて質問を調整することも大事
■ 5. アドバイス4: 価格設定について
- 売上を決める3要素:
- ストアページを訪れる人数
- 購入したくなるかどうか
- 価格
- 価格だけは時間をかけずに簡単に変更でき一回のテストによって適正値を探れる
- 価格決定の方法:
- テスターに「いくらなら妥当だと思うか」を尋ねる
- 一番多くの人が選んだ値で価格を決める
- この方法でいずれの作品も高い評価と売上を得られた
- 「これだけ苦労したのだからもっと高く売りたい」という考え方には否定的:
- 開発者が売るゲームのコピーには原価がかからない
- 販売ターゲットになるユーザーは実質無限
- 価格を上げてもその分販売本数が減れば収益は変わらない
- レビューの好評率や口コミの盛り上がりが削がれる可能性もある
- 重要なのはプレイヤーが納得して払うことのできるゲームの「適正価格」を見極めること
- 「底辺への競争」への懸念について:
- PCのインディーゲームの価格を注視してきた22年間を通して一度も価格が下がったことはない
- 近年ではどの価格帯でも成功や失敗が起こる
- 開発者の増加とともに競争やノイズも増加
- 価格を決める際には周囲の傾向に左右されるべきでない
■ 6. 総括
- Francis氏のアドバイスは限られた資金と時間の中で「ゲームを作り続けるための現実的な考え方」
- 良いゲームを作っても必ずヒットするわけではないが出来の悪いゲームを作れば確実にヒットから遠ざかる
- 大規模なヒットの可能性を上げるためにはマーケティングなどが噛み合うかどうかも関係してくる
- プロジェクトが小規模であるほど利益を出すために求められる売上も少なくなり「成功」を掴みやすくなる
- 近年では市場に膨大なインディー作品があふれており「Indiepocalypse(インディーポカリプス)」という言葉も登場
- 競争は年々激化しインディーゲーム開発者を取り巻く環境が厳しさを増す中で長年スタジオを存続させてきた開発者の経験談は道標になる