■ 1. 営業主導による炎上の起点
- 受託開発の見積もりは画面数等を元にした経験則に基づき正確性を欠く
- 30%OFFの受注は人件費の30%削減として現場に押し付けられる
- 客は定価相当のシステムを購入したと認識するが実際には7割分の提供となる
- 差額は「現場の頑張り」で補うことを前提としており炎上の構造的起点となる
■ 2. 増員による悪化
- 人員不足によりスケジュールが遅延し客からの圧力が生じる
- SIerは遅延が発生すると迅速に増員を決定する傾向がある
- 炎上中のプロジェクトへの増員は以下のコストを発生させ状況を悪化させる:
- 新規人員への教育コスト
- タスク再配分コスト
- 人員管理コスト
■ 3. 顧客との関係崩壊
- SI側の進め方が崩壊すると顧客との信頼関係も失われる
- 発注範囲の境界線が不明確になりカジュアルな仕様変更要求が発生する
- SIerはシステム開発のプロとして顧客の意思決定を先回りしてコントロールすべき存在である
- 多くのSIerにはこの思想が欠如しており顧客主導の主従関係が形成される
- 日本のSI業界ではこの構造が数十年にわたり定常化している
■ 4. プロジェクトマネジメントと品質管理の崩壊
- スコープマネジメントの欠如がリリース時の品質評価を実質不可能にする
- 各工程のスケジュール遅延により前工程終了前に次工程が開始される状況(五月雨)が生じる
- しわ寄せはテスト工程に集中し品質が崩壊する
- 典型的な炎上案件では以下の5つの崩壊が連鎖的に発生する:
- 体制の崩壊
- 顧客との信頼関係の崩壊
- スケジュールの崩壊
- テスト工程の崩壊
- 品質の崩壊
■ 5. 炎上後の構造的帰結
- 現場担当者の一部が鬱になる
- 案件終了後に燃え尽き症候群(デスマーチロス)が発生する
- 会社は現場の疲弊をよそに価格交渉を開始する:
- 超過した人件費を「赤字」として顧客に折半を要求する
- スコープ管理不足を棚上げし仕様変更を根拠としてオプション費用を請求する
- SIerの人件費は「売値」で積算されるため粗利率50%程度のマージンが乗っており折半でも原価回収が可能
- リリース後の運用保守契約は5年から10年続く場合があり開発費用と同等以上の収益源となる
- 近年は大規模SI案件の減少と労働環境改善の動きにより典型的な炎上案件は減少傾向にある