■ 1. EMの責務
- EMの責務は「チームを強くすること」
- チームのボトルネックを特定し自身の作業時間をその解消に充てることが基本的なアプローチ
- 半年・1年後に「チームが強くなった」と言われ続けることがEMとしての価値
- EMの責務は「マイナスをゼロにする」と「ゼロをプラスにする」の2段階に分類される
- マイナスをゼロにする:
- チームの状態が悪い際に目に見える課題(コミュニケーション問題・開発プロセスの停滞など)を一つずつ解決する行動
- 課題が可視化されているため何をすべきかは比較的明確
- ゼロをプラスにする:
- チームの状態が悪くない状況で潜在的なボトルネックを発見し解消する行動
- 可視化された課題がない状態での発見が求められるため難易度が高い
- AI活用による開発スピード向上のように「困ってはいないがさらに改善できる領域」への働きかけが例として挙げられる
■ 2. 強いチームの定義
- 「強いチーム」の定義に唯一の正解はなく離職率・開発スピード・人材の質など複数の軸が存在する
- 重要なのはEMのスキルセットとチームメンバーの特性に合致した定義を設定すること
- 現実から乖離した理想像では実現不可能なため自チームが実際に目指せる方向性を選ぶ必要がある
- チーム内で「この方向で強くなろう」という合意が取れている状態が望ましい
■ 3. EMのスキルセット
- EMのスキルセットは以下の4領域に大別される
- プロジェクトマネジメント:
- スクラム等の開発プロセスを深く理解しスプリントゴール設定や改善サイクルを確立する能力
- 外部ステークホルダーからの流入をコントロールしエンジニアが開発に集中できる環境を整える
- テクノロジーマネジメント:
- 技術選定・方針決定における意思決定のガードレール設定やエンジニアの相談相手として機能する能力
- 技術的負債や将来リスクを見据えた判断のサポートを含む
- エンジニアリングの最低限の知識がなければ適切な育成・評価が不可能
- プロダクトマネジメント:
- 仕様・ユーザー価値・事業的価値を理解しエンジニアリング観点での論点整理や仕様検討に貢献する能力
- プロダクトを理解していないと管理だけして何を作っているか分からない状態になる
- ピープルマネジメント:
- 採用: 組織に必要な人物像の定義と採用活動への主体的関与・社外アウトプットによる認知拡大
- 育成: メンバーのWillとチーム課題を踏まえた成長・活躍のための育成計画設計
- メンタリング: 日常的フィードバックを通じた心理的安全性とエンゲージメントの向上
- 理想は4つのスキル全てを最低限習得した上でいずれかに強みを持つこと
- 実際にはケースバイケースでありPdMが主担当する領域や優秀エンジニアがいる環境では求められる範囲が変わる
■ 4. EMと野球の監督の類比
- EMは野球の監督に類似した役割を担う
- 監督の目的「チームを優勝させる」はEMの「強いチームを作る」に相当する
- 監督のスキルや所属選手の特性によって目指すチームの形が異なる点は「強いチームの定義はEM・メンバーの特性に合わせて決める」という考えと一致する
- コーチ選定・練習メニュー設計・対戦相手分析など幅広い領域の理解が必要な点はEMに求める4つのスキルセットと対応する
■ 5. EMアンチパターン
- なんとなくスクラムイベントに参加しなんとなく1on1を実施してチームにポジティブな変化を与えないまま半年が終わる状態はアンチパターン
- 自分の時間をどう使えばチームにポジティブな変化をもたらし強いチームを作れるかを常に考えることが重要