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役割と責任の区別をつける

要約:

■ 1. 役割と責任の違い

  • スクラムガイド2020での変更:
    • スクラムガイド2017まではプロダクトオーナー・開発者・スクラムマスターを「役割(Role)」と呼んでいた
    • スクラムガイド2020から「責任(Accountability)」という用語に変更された
  • Accountability(説明責任)の定義:
    • 「行動・成果・意思決定に対して責任を引き受け、その結果について報告・説明・答弁する義務」
    • 意思決定の根拠・試みた内容・結果・次の行動について担当し説明できることを指す
    • 結果を保証することではなく「結果に対してオーナーシップを持つ」ことを意味する
  • ResponsibilityとAccountabilityの区別:
    • Responsibility(実行責任)は実際に手を動かす責任であり誰が何をするかの話
    • 日本語の「責任」にはこの両方の意味が含まれるため混同されやすい
  • スクラムガイド2020が用語を変えた意図:
    • 「誰が何をするか」はスクラムチームの自己管理として自分たちで決める
    • どの領域でAccountabilityを持つかは明確にする
  • 責任・役割と肩書き・役職・職種は別物である:
    • プロダクトオーナーやスクラムマスターは会社の役職や職種ではなくスクラムチーム内の責任の区分
    • これを理解することで「それはあなたの仕事」「作業が進まない」といった発言がなくなる
  • スクラムマスターのAccountability:
    • スクラムガイドで定義されたスクラムを確立させることの結果に責任を持つ
    • スクラムチームの有効性に責任を持つ
    • その果たし方はチームの状況やスクラムマスター自身のスタイルによって異なる
    • すべてのイベントの司会やファシリテーターをするResponsibilityは存在しない

■ 2. 「何もしない問題」の正体

  • スクラムが適切に機能している場合:
    • スクラムマスターがスクラムチーム内でやることは多くない
    • スクラムチームの外側(組織)での取り組みが増えていくのが通常
    • チーム内の他メンバーから「何もしていないように見えている」だけの可能性がある
  • 透明性と説明責任の不足:
    • 自分がどんな目的で何をしているかを公開していない状態が問題
    • スクラムマスターは自分が何に取り組んでいるかを他者からわかるようにする必要がある
  • 本当に何もしていない場合の対処:
    • チームメンバーは助けてほしいこと・手伝ってほしいことを積極的に伝える
    • スクラムチーム全体として「毎スプリント価値あるインクリメントを届ける責任」があり一人だけ他人事は許容されない
    • 改善されない場合はマネージャーへエスカレーションしチームから外す

■ 3. 役割のオーバーラップと責任の明確化

  • 生成AI時代のチームの変化:
    • チームは小さくなりメンバーのスキルがオーバーラップしている
    • 「これは自分の仕事ではない」という発言が成立しない状況になっている
    • 役割の境界は曖昧であってよい
  • 責任の明確化の重要性:
    • 責任が曖昧になると誰も決定しなくなり合議制に陥る
    • 責任が明確であることで意図を持った意思決定が可能になる
  • 生成AI時代のプロダクトマネージャー論への適用:
    • 従来プロダクトマネージャーが担っていた業務はチームの様々なメンバーが担うようになる
    • プロダクトマネージャーが持っていたAccountabilityは誰かが持たなければならない
    • 肩書きや職種の名称が変わっても責任そのものは消えない