■ 1. 日産とRed Hatの次世代SDVプラットフォーム開発
- 日産自動車とRed Hatは、次世代ソフトウェア定義車両(SDV)プラットフォームを共同構築するエンジニアリングイニシアチブを発表した
- 発表は米国アトランタ開催の年次カンファレンス「Red Hat Summit 2026」(2026年5月14日まで)にて行われた
- 日産SDVソフトウェアプラットフォーム開発部ゼネラルマネジャーの杉本一馬氏が基調講演でRed Hatとの取り組みを紹介した
■ 2. 安全性と更新性を両立するアーキテクチャ
- 採用OS:
- 「Nissan Scalable Open Software Platform」(SW PF)の基盤OSとして「Red Hat In-Vehicle Operating System」を採用する
- 同OSはRed Hat Enterprise Linux(RHEL)ベースで、標準化されたスケーラブルなLinux基盤を提供する
- 従来の課題:
- 従来の車載ソフトウェアは、品質・安全性の検証後に変更しないことを前提に設計されてきた
- ソフトウェアの急速な進化により、従来の前提が通用しなくなった
- 新アーキテクチャの方針:
- ソフトウェアを「安全性クリティカル領域」と「高頻度アップデート領域」に分離する
- 高頻度アップデート領域にLinuxを採用し、チップ・センサーの世代交代がソフトウェアスタック全体に波及しない構造を実現する
- SW PFはAmazon Web Services(AWS)上に構築される
- 分離アーキテクチャを支える2つの中核概念:
- 抽象化とクリアなインターフェース設計: ドライバーおよびハードウェア依存レイヤーを分離し、上位レイヤーには標準化されたAPIのみを公開することで、ハードウェア交換時の影響を最小化する
- モジュール化と独立デプロイ可能性: 機能をコンテナーやサービスユニットに分割し、各機能を独立してビルド・テスト・デプロイ・アップデートできるようにする、これによりターゲットを絞ったOTA(Over-the-Air)アップデートが可能となり、車両ソフトウェアの継続的な進化を支える
■ 3. AI定義車両が変えるコンピュートとデータの要件
- AI定義車両への発展:
- 日産はSDVをさらに進化させ、AIを車両の中核に据えた「AI定義車両」(AI-Defined Vehicle)へと発展させる
- この転換によりコンピュートとデータの要件が根本的に変わるとされる
- コンピュートの方針:
- 進化し続けるAIワークロードへの対応を最優先課題と位置づける
- 車載・車外・ハイブリッドのいずれにも柔軟に対応でき、特定のチップ世代に縛られないアーキテクチャを目指す
- データの方針:
- モデル改善にとどまらず、説明責任・信頼性・継続的な学習の確保を重要課題とする
- セキュリティ・プライバシー・ガバナンスの組み込みを前提とする
- 統合開発モデル:
- Red Hatのエンジニアリング人材を日産の開発パイプラインに直接組み込む「統合開発モデル」を採用する
- 技術革新と同等に、人材とパートナーシップを重要視する
- Red Hatとの協業を通じ、内部能力の強化とAI定義車両の展開加速を目指す