■ 1. 概要
- カリフォルニア州のデジタル年齢保証法(AB 1043)は、OSプロバイダーにユーザーの年齢情報収集を義務付ける法律
- Linuxコミュニティからの反発を受け、オープンソースOSを対象外とする修正法案(AB 1856)がカリフォルニア州議会で審議されている
■ 2. デジタル年齢保証法(AB 1043)の内容
- 概要:
- OSのアカウント設定時にユーザーの年齢情報を入力させ、アプリ起動時に年齢区分信号をアプリ開発者へ渡すことをOSプロバイダーに義務付ける
- 年齢区分:
- 13歳未満
- 13歳以上16歳未満
- 16歳以上18歳未満
- 18歳以上
- 施行予定日: 2027年1月1日
- 罰則:
- 過失による違反: 影響を受けた子ども1人あたり最大2,500ドル(約40万円)の民事制裁金
- 故意による違反: 最大7,500ドル(約120万円)の民事制裁金
■ 3. 対象範囲と問題点
- OSプロバイダーの定義:
- 「コンピューター、モバイルデバイス、その他の汎用コンピューティングデバイス上のOSソフトウェアを開発、ライセンス供与、または管理する者」と広く定義
- Windows、macOS、Android、iOSに加え、LinuxディストリビューションやSteamOSも対象に含まれる可能性が指摘された
- Linuxに対する問題点:
- 多くのLinuxディストリビューションはボランティアやコミュニティによって維持されており、単一企業が管理する商用プラットフォームではない
- ユーザーアカウント機能や利用状況の送信機能を持たないディストリビューションが多く、年齢確認のための個人情報収集システムを新規実装する必要が生じる
- 批判者は「法律の文言が広すぎるため、オープンソースOSを年齢確認プラットフォームに変えることを技術的に強制しかねない」と主張
■ 4. Ageless Linuxの登場
- 2026年3月、デジタル年齢保証法への意図的な不遵守を目的とした「Ageless Linux」が登場
- DebianベースのLinuxディストリビューションであり、ユーザーの年齢情報を収集しないことを掲げる
- 開発者のジョン・マッカードル氏の主張:
- 年齢確認システムを実装できる資金や人員を持つのは大企業だけ
- 小規模な開発者やボランティア中心のLinuxディストリビューションにとって、同法は大きな負担となる
■ 5. 修正法案AB 1856の内容
- AB 1856(2026年5月18日版)の修正内容:
- OSプロバイダーの定義から「受領者がソフトウェアをコピー、再配布、変更できるライセンス条件でOSまたはアプリを配布する人や団体」を除外する文言を追加
- オープンソースライセンスで配布されるOSはデジタル年齢保証法のOSプロバイダーに該当しない方向
- AB 1856はデジタル年齢保証法の廃止法案ではなく、OSプロバイダーの定義を狭める内容にとどまる
■ 6. 今後の焦点
- 独自のアプリストアや商用アプリ配信基盤を持つOSは引き続き対象となる可能性がある
- SteamOSのようにLinuxベースでありながら独自の商用アプリ配信基盤と強く結びついたOSが対象外となるかは不透明
- 商用プラットフォームとオープンソースOSの線引きが今後の焦点となる