■ 1. 「自走できる人」という募集要項の警戒指標としての機能
- IT業界では「一人称で仕事できる人」「自走できる人」と明記する求人を避けることで、攻撃的な人物がいる職場を回避できるという経験則が共有されている
- コミュニケーションを重視する企業では、チームワークを大切にし、技術力があっても攻撃的な人材が評価されにくく定着しにくい傾向があり、結果的に職場の雰囲気が良くなる
■ 2. 「自走できる人」という表現の実態
- 「自走できる人」が募集要件に示す実情:
- 教育・サポートを行う意思・能力がない
- 仕事を丸投げする前提がある
- 「能動的」「一人称で動ける人」も同義で、エスパー的な察知力を求める表現として機能する
- わざわざ募集要件に記載する理由:
- 普通に仕事をすれば書く必要のない条件をあえて記載する企業は、要件定義や意思決定を他者任せにしていることが多い
- 人員不足・余裕のなさから生じるケースも多い
■ 3. 「自走できる人」を求める組織の構造的問題
- マネジメント崩壊の指標:
- 自走を求める組織は、実質的にマネジメントが機能していない状態を示す
- 基礎研修・OJTを実施せず、プリセールスから開発・保守まで個人に担わせる企業が存在する
- 少人数・自走体制がもたらす雇用者側のメリット:
- マネジメント層の負担軽減
- 都合が悪くなれば「独断専行」として処分可能
- 少人数のため労働組合を組織されにくい
- 当人が「自分は優秀だ」と勘違いして自尊心が満たされるため、やりがい搾取が成立しやすい
- 頻繁な離職の真因の誤認:
- 現場環境の悪化によって人が抜けているにもかかわらず、離職者の能力不足と認識して同じ要件で募集し続けるケースがある
■ 4. 実際の職場環境
- 「自走できる人」を募集する職場で直面しやすい状況:
- 自走できない人材のフォローまで求められる
- 業務を属人化した攻撃的な人物への対処を暗に要求される
- 会社としての強みがなく場当たり的な仕事しかできないため、個人の想像の範囲内でしかカイゼンができない
- 一人親方的な働き方が身体的健康に悪影響を及ぼすケースも報告されている
■ 5. 例外と文脈の違い
- 優れたマネジメントのもとで自走できる人材を活かすケースは存在するが、外部から見分けることが困難なため、一律に避ける判断が生まれやすい
- 本来の「自走できる人材」が発揮する能力:
- 周囲の状況を把握し、不足部分を自然にカバーする
- 問題を率先して報告する
- このような人材が多い組織は組織力が高まる
- 「自走できる」の定義のずれ:
- 採用側は「自走できる人間性」を求めているだけで、社内での単独行動を期待しているわけではないケースもある
- マネジメントが崩壊している組織ほど「自走できる人」という表現で募集する傾向がある