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要約:

■ 1. ドメイン知識のプロンプト化

  • LLMは地域税法や細粒度の業務仕様など全てを自動化できるわけではない
  • ただし、著者が長年かけて習得した業務ドメイン知識の多くは、現在ChatGPT等でプロンプト化可能になった
  • かつてはドメイン知識がコーダーとの差別化要因になると考えていたが、その前提が崩れた
  • 新しいモデルとAGENT.mdによるドキュメント整備により、以前は苦手だった業務固有の処理もエージェントが対応できるようになった
  • 長年の先輩から学ぶ機会が減り、人的インプットなしで業務を遂行できる場面が増えた

■ 2. AI加速職場での対処戦略

  • AI導入と人員削減により、レビュアーが多数のドキュメント・PRに追われて審査が手薄になった
  • この状況を利用した実践的な対処法を採用している:
    • 設計書の実装詳細を意図的に曖昧にし、実装段階での裁量を確保する
    • E2Eテストのチケットを追加し、バグや改善チケットを立てる余地を作ることで時間を確保する
    • 実装の初期フェーズ(感度の高い部分)を細かくカードに分割し、慎重に進める時間を確保する
  • これらの手段を好んでいるわけではないが、現職は「フルスロットルなvibecoding」を強制しない環境であり、より悪い環境への転職リスクを考えると現状維持が合理的と判断している

■ 3. 「波に乗る」戦略の実践とその限界

  • 現在はアジェンティックツールの改善に積極的に貢献し、複数モデルによる対抗的コードレビューを活用している
  • プロンプトとスキルのツールベルトを維持し、「AIネイティブエンジニア」として機能している
  • しかし、懸念の本質は現在ではなく将来にある
  • モデルとハーネスが同じペースで改善し続けた場合、職業としてのソフトウェアエンジニアリングは完全にコモディティ化する可能性がある

■ 4. コピーライティング業界を例にした将来予測

  • コピーライティングは習得に年数を要し、高収入だった職業だが、LLMにより破壊された
  • 破壊のメカニズム:
    • 需要の大部分を占めていた中小企業がChatGPT生成コピーで十分になった
    • 1人のコピーライターが10人分の仕事をこなせるようになったが、需要は10倍にならない
    • 上位約1%のみが残り、残りの99%はわずかな仕事を奪い合う状況になった
  • UXライターも大企業で大量解雇が起き、10人いた部署を1人に縮小するケースが多発した

■ 5. ソフトウェアエンジニアおよび他職種への波及

  • ソフトウェアエンジニアも同様の運命に向かっている
  • エージェントを操作するエンジニアは一部残るが、供給増加により替えが効く安い労働力になる
  • AIラボの目標は金融、生物学、法律、マーケティング等の全知識労働分野に拡大する予定である
  • 「ChatGPT for Health」等のリリースは既にその兆候であり、「Claude Finance Analyst」等の展開は時間の問題

■ 6. 過去の技術変化との比較

  • OOPは知識をプロンプト化しなかったため、今回と本質的に異なる
  • OOPはソフトウェアエンジニアリングに留まり、急速な複利改善もなかった
  • 過去の事例(Swine Flu, SARS, Ebola)を根拠にCovid-19を軽視した結果と同じ誤りを犯している可能性がある
  • Metaverse・NFT等の過去の失敗事例との比較も不適切であり、現在のLLMは「行列積算マシンが有用なテキストを何時間でも出力できる」というSFレベルの実態がある

■ 7. 「有能なエンジニアは安全」という反論への回答

  • モデルはいずれ優れたエンジニアリング原則も習得する
  • Turing AIが全言語・ドメインにわたる「良いコード」を収集しLab強化学習に使用しており、人間の優位性は永続しない
  • 著者が全く知らない分野でも、LLMは適切な説明・アドバイスを提供でき、法務・PMとのクロスチェックでも概ね正確と確認されている