■ 1. 「マネージャー向き」と言われ続けてきた経験
- エンジニアになってから何度も「マネージャー向きですね」と言われてきた
- 問題を整理すること、複雑な状況を構造化すること、人の認識を揃えることが好きである
- 技術的な課題が絡み合っている状況を見ると、まず図にしたり論点を書き出したりしたくなる
- そうした振る舞いに対して「それってマネージャーの仕事ですよね」と言われ、実際にマネージャーになったこともあった
- 時にはより直接的に「技術の人じゃないね」と言われたこともあった
- 当時はその言葉を半分受け入れつつも、ずっと違和感を持っていた
■ 2. マネージャーになりたいわけではなかった
- マネージャーという仕事を否定したいわけではなく、優れたマネージャーにも多く出会ってきた
- ただ、自分がやりたいこととは少し違っていた
- 人事評価に強い興味があるわけではなく、組織図を考えたいわけでも、採用や予算管理をやりたいわけでもない
- 一方で、システムがなぜ複雑になったのか、なぜ障害が起きたのか、なぜチームが同じ問題を繰り返しているのかは気になって仕方がない
- 自分が本当にマネージャー向きなのか、ずっと不思議に思っていた
■ 3. コードを書くのが一番得意なわけでもなかった
- コードを書くのは嫌いではないが、世の中にはもっと速く、もっと深く、もっと美しくコードを書く人がいる
- そうした人たちを見て、自分は本当に優秀なエンジニアなのだろうかと思うこともあった、特にキャリアの初期はそうだった
- エンジニアの価値はコードを書くことで決まるとどこかで思っていたし、そういう空気を感じることもあった
- コードを書くのが一番得意ではなく、マネージャーになりたいわけでもないという、その間で長いこと居場所が分からなかった
■ 4. AIは仕事を奪わなかった
- AIが登場したとき、コードを書く速度の速さに最初は少し焦り、これから何が価値になるのか考えた
- 実際に使い始めると予想とは違うことが起きた
- 仕事は減らず、むしろ増えた
- コードを書く時間が短くなった分、何を作るべきか、どこにリスクがあるのか、なぜこの問題が起きたのか、どうすれば同じ失敗を防げるのかを考える時間が増えた
- 自分は以前から、その仕事をしていたのだと気づいた
■ 5. それは本当にマネジメントなのか
- 問題を整理すること、複雑さを減らすこと、技術的な意思決定を支援すること、将来のリスクを見つけること、システムをより良い方向に導くこと
- これらが本当にマネジメントなのかを改めて考える
- マネジメントと一部重なる部分はあるが、それらの多くは技術そのものなのではないかと最近思っている
- コードを書くことだけが技術ではない
- 設計も、運用も、障害対応も、複雑な状況を整理することも技術である
- AIによってコード生成のコストが下がった今、そのことが以前より見えやすくなった
■ 6. やっと説明できるようになった
- AIによって新しい能力が手に入ったわけではなく、やっていたことは昔から変わっていない
- 「マネージャー向きですね」と言われるたびに感じていた違和感と、「技術の人じゃないね」と言われるたびに感じていた居心地の悪さの理由を、長い間うまく説明できなかった
- 今なら少しだけ分かる気がする
- マネージャーになりたかったわけではなく、コードを書くことから逃げたかったわけでもない
- ただ複雑なものを理解して、少しでも単純にしたかった
- それもまた、エンジニアリングである