■ 1. 概要
- Epic Gamesが次世代バージョン管理システム「Lore」のプレステーブル版を公開
- MITライセンスのオープンソースとして無料提供
- プロジェクト種別を問わず使用可能で、改変・配布・Loreを基盤としたツールの構築も許可
- 対応環境: Windows、macOS(ARM64)、Linux向けにCLIツールおよびサーバーバイナリを提供
- 言語サポート: C/C++・RustのネイティブインターフェースのほかJavaScript、Python、C#、Goの言語バインディングに対応
■ 2. 開発背景と目的
- 既存VCSが抱える大規模化・バイナリデータ取り扱いの課題を解決するために設計
- ゲーム開発では数GBのテクスチャ・3Dモデル・音声ファイルなどの大量バイナリアセットが存在
- マルチテナントの安全性とオープン仕様を備えた大規模プロジェクト管理システムとして構築
■ 3. 運用実績
- Epic Games社内ですでに稼働中
- 「Unreal Editor for Fortnite(UEFN)」の組み込みVCS(旧称: Unreal Revision Control)として採用
- クリエイターの島データのバージョン管理やクックパイプラインのバックエンドとして利用
■ 4. 技術的特徴
- バイナリファーストアーキテクチャ:
- データはファイル単位ではなくフラグメント(チャンク)に分割して管理
- 暗号学的ハッシュ関数BLAKE3によるコンテンツアドレス方式を採用
- チャンク化手法はコンテンツベース(FastCDC)と固定サイズの2種類をサポート
- 変更されたフラグメントのみ再アップロードすることで通信量とストレージ容量を節約
- スパース設計とオフライン対応:
- クローン時に「ビューフィルタ」で必要なディレクトリのみ指定可能
- データはオンデマンドで取得(遅延フェッチ)され、数TBのプロジェクトでもローカルストレージを圧迫しない
- ミュータブルストア(ブランチの最新ポインタ等)とフラグメントキャッシュをローカルに保持
- ステージング・コミット・ブランチ操作・差分確認などはオフラインで実行可能
- サーバー通信はPushおよびSync時のみ発生
- ロック機能:
- バイナリアセットなど自動マージ不可能なファイル向けにファイルレベルのロック機能を搭載
- ロックはサーバーと通信して取得・照会し、ロック中ファイルへのPushはサーバー側で拒否
- 複数ユーザーによる同一ファイルの同時編集による競合事故を防止
- リンクとレイヤー:
- リンク: Gitのサブモジュールに類似しており、ディレクトリごとにアクセス制御が可能、権限のないユーザーには内容が非表示
- レイヤー: ローカルでのみ適用されるオーバーレイ機能で、CIパイプラインや個人アセットライブラリを透過的にマウント可能
■ 5. 今後のロードマップ
- 2026年の計画:
- VS Codeプラグインの実装
- 仮想ファイルシステム(VFS)の実装
- 数百万ファイルに対応するスケーラブルなロック機能の強化
- 2027年の計画:
- デスクトップクライアント(早期アクセス版)のオープンソース化
- アンリアルエンジンのエディタ本体へのプラグイン統合
- Webクライアントの提供