■ 1. 概要
- 講演者: 平田 憲穏(株式会社Works Human Intelligence、製品開発部門 CJK Dept. CK Domain Expert Grp. / 社会保険 Grp.)
- 開催日: 2026年6月26日
- テーマ: 単なる「仕様書」で終わらせない、ユーザー業務を深堀りし成果を出す機能企画書=「カタログ」の作り方
- 議題:
- よい機能企画書(カタログ)は業務・ユーザー深堀りがスゴい
- 実例① お客様のニーズを先取りした機能企画(子ども・子育て支援金の法改正対応)
- 実例② カタログで向き合った、相談の裏側にある本当の課題(定年引上げ制度の法改正対応)
- 実例③ お客様の「本当に欲しい」を形にする(私学共済届出 e-Gov電子申請対応)
■ 2. 機能企画とカタログの定義
- 機能企画はITエンジニアにとって「得意」「不得意」が大きく分かれる領域
- WHIにおける機能企画書を「カタログ」と呼ぶ
- カタログの役割:
- 「何」を「いつ」機能開発するかという機能開発の羅針盤
- 機能概要とメリットの2セットで構成される
- カタログの命名由来:
- カタログは本来、品目を書き並べ、目を引くメリットで選ばれるもの
- WHI版機能企画書も同様に、機能概要とメリットの2セットで構成
■ 3. 設計書とカタログの比較
- 設計書:
- メリットが考え抜かれていない機能要件を羅列するにとどまる
- カタログ:
- 機能を通じてユーザーに与えたいメリットを記載する
- ユーザーへのメリット(提供価値)を機能一つひとつで徹底的に考え抜く思考プロセスをもたらす
- 「メリット」を考え抜いた業務機能の集合体がCOMPANY(自社製品)
- 日本の大法人の複雑な業務を考え抜いているからこそ、ノーカスタマイズのパッケージシステムが実現
■ 4. カタログの構成の変遷
- 初期の構成:
- Outline(概要)
- Function List(機能リスト)
- 現代の構成:
- Outline
- Business Investigation(追加)
- User Investigation(追加)
- Function Abstract
- Function List
- 追加された2セクションの役割:
- Business Investigation(書き手向け): 表層的な問題認識から深い問題認識へ至るための「深い思考の補助線」
- User Investigation(読み手向け): 本質的な課題を解決しているかを判断するための「前提知識の補完」
■ 5. よい機能企画書の本質
- 問題解決の構造:
- 問題解決は「理想」と「現実」のGAPを埋める活動
- 機能のメリットは「現実」の深堀り度の高さで決まる
- 深堀りの有無による結果の差:
- 業務・ユーザーの深堀りがない場合: 表層的な課題にとらわれ、メリットの低い解決策につながる
- 業務・ユーザーの深堀りがある場合: 深層の課題をつかみ、メリットの高い解決策につながる
- 結論: よい機能企画書(カタログ)は業務・ユーザー深堀りが優れており、この深堀りが本質的な課題の発掘と本質を捉えた解決策立案を促進する
■ 6. 法改正対応における機能企画
- COMPANYにおいて、顧客からの評価が最も高いのが法改正対応
- 顧客の声(2025年顧客満足度調査より):
- 法改正情報をいち早くキャッチアップし対応を示してくれることへの安心感
- 法改正に関する情報提供スピードの速さ、業務レベルでの対応方法への評価
- 他社事例の掲載により具体的なイメージを持てることへの満足
■ 7. 実例①: お客様のニーズを先取りした機能企画(子ども・子育て支援金の法改正対応)
- 法改正の概要:
- 2026年4月より子ども・子育て支援金の徴収開始
- 健康保険料カテゴリで個人・事業主折半で徴収
- 給与・賞与から徴収
- 法改正の深い理解:
- 表層的な理解: 「子ども・子育て支援金」という項目を計算するという決まった要件を実現する対応
- 深い理解: 「子ども・子育て支援金」を計算する新しい業務の誕生
- 法改正対応の本質は「新しい業務」の誕生であり、法を読み解いて見出した新しい業務に対してメリットある機能を企画する
- ニーズの種類と優先度:
- 全法人向け(給与明細ニーズ): 給与明細の健康保険料内訳に子ども・子育て支援金を表示したい。推奨。事前のニーズ把握が困難
- 公共団体向け(会計費目ニーズ): 共済組合への納付で短期負担金と子ども・子育て支援金の会計費目を分けたい。必須。ニーズが明確
- 対応方針:
- 明確なニーズを持つ公共団体向けをメインターゲットに機能企画
- 2025年春より開発活動に早期着手
- 深堀りによる成果の差:
- 全法人ニーズのみ把握の場合: 給与明細ニーズが読めず開発着手できず、法改正直前・直後の慌てたリリースとなるリスク
- 公共団体ニーズも発掘できた場合: 2025年7月(法施行9ヶ月前)に初期リリースを実現し、余裕をもった法改正対応の準備が可能
- 業務の深堀りによって明確なニーズを発掘でき、お客様のニーズを先取りした機能リリースを実現