■ 1. 概要
- オープンソースゲームエンジン「Godot Engine」の運営元(Godot財団)が、2026年6月30日にコントリビューター向けガイドラインの近日改訂を発表
- 改訂により、生成AIを用いたコントリビューションに一定の制限が加えられる
■ 2. Godot Engineの概要
- PC・モバイル・Web向けの2D/3Dゲームおよびアプリを制作できるオープンソースゲームエンジン
- 完全無料で利用可能であり、開発コストは寄付によって賄われている
- 近年インディーゲームを中心に採用例が増加し、大手スタジオでも活用される
- GitHub上でバージョン管理されており、誰でも自由にディスカッションへの参加やプルリクエストの提出が可能
■ 3. 問題の背景
- 生成AI(LLMなど)を用いたプルリクエストが急増し、質の低いコントリビューションが増加
- 問題のある具体例:
- 意味不明な内容のコード
- 過度に冗長な説明文
- 投稿者自身が変更点を把握していないケース
- 妥当性を判断するレビュアーの不足:
- プルリクエストの増加に対して、資格のあるレビュアーが不足
- 対応が不可能になりつつある状況
- レビューの本来の役割の喪失:
- 新たなコントリビューターを育成し、将来のレビュアーやメンテナーへ成長を促す役割があった
- 現在はフィードバックを返してもAIに吸収されるだけとなり、レビュアーの士気が低下
■ 4. 新ガイドラインの内容
- 禁止事項:
- 自立型AIエージェントの使用
- バイブコーディング
- AIによるコード生成(提出コードはすべて人間が作成したものであることが必須)
- 人間同士のコミュニケーション(プルリクエスト等)におけるAI生成テキストの使用
- 限定的に許可される事項:
- コード補完
- 正規表現の生成
- 検索・置換などの単純作業
- 機械翻訳(元の文章が人間によって書かれている場合に限る)
- 義務事項:
- コードの作成過程でAIを使用した場合、プルリクエストの議論内でその事実を明記すること
■ 5. 禁止の理由と方針
- 全コントリビューションは、自身のコードに責任を持ち、必要に応じて修正できる意思と能力を持った人間によっておこなわれるべきとの方針を明確化
- AIは責任を負うことができない
- AIを頻繁に使用するユーザーが自分のコードを十分に理解して修正できるとは限らない
- レビュアーへの敬意という基本原則として、AIではなく人間との対話を重視
■ 6. 今後の見通しと業界動向
- Godot財団は引き続き保守的なアプローチを維持しつつ、今後の状況に応じて再評価をおこなう方針
- 業界全体の動向:
- GitHubは2025年2月に、低品質なコントリビューション増加への対応として、リポジトリごとにプルリクエストの作成を制限または無効化できる機能を実装
- 生成AIの発展によりゲーム開発やゲームエンジンへの貢献の間口が広がった一方、コーディングへの深い理解なしに安易なプルリクエストが増加する問題が以前より指摘されていた