■ 1. 「視座を上げる」の定義
- 「視座を上げる」とは、「様々な人(やその立場)を主語にして話せるようになること」を意味する
- 「視座が高い」とは、異なる視点の解像度を高めることにより、広くものごとを見られる状態を指す
- エンジニア向けの言い換えとして、ものごとに関わる変数(自分・チーム・ステークホルダー等)の数と関係性の解像度を高めることと捉えられる
- 「視座」に高さや上がるという表現がつく理由は、視点が増えることで広く・遠く見渡せるようになるためであり、実態は広さ、深さ、構造、時間軸の拡大を意味する
- 今まで知らなかった視点は先輩・上司・経営者など経験が長い立場の人が持つことが多く、それが視座=上という印象につながっている
■ 2. 視座を上げることの必要性
- 様々な人の視点の解像度を上げることは、「自分への期待値を乗りこなし、飛び越えるため」に必要である
- 「経営者視点を持て」とは、経営上の意思決定を求めているのではなく、「経営者視点を理解した上で自チームが事業にとって価値ある成果を出せるよう考え行動すること」を求めている
- 視点の解像度が求められる場面の例:
- 優先順位のあがったプロジェクトをいつ差し込むか
- 技術的負債と機能開発のどちらを優先するか
- PRのコード品質にどこまでこだわるべきか
- よりよい判断を自分で行い、行動指針を示すために様々な視点の解像度が必要となる
■ 3. 視座を上げるための4つのステップ
- ステップ1: 新しい視点を持つ人に気づく(視点の認知):
- 新しい視点は自分の感覚の外にあるため、人との対話やインプットから入力する必要がある
- 自分にはない視点であるというメタ認知も必要である
- ステップ2: その視点の構造理解を深める(課題・意図の理解):
- 視点で何を意識しているか、なぜか、どうすれば得られるかなど背景・課題・意図を噛み砕く
- 違いに気づいても読み解けなければ「自分とは違う」で終わってしまう
- ステップ3: その視点を自分の言葉で話せるようになる(当事者としての変換):
- まず自分で説明できるようにし、その視点について語り、行動できる状態にする
- ステップ4: その人の視点を自分の判断軸に加える(当事者としての行動):
- 自分が全て実行する必要はなく、AIや周囲の人に実行を任せつつ、自分が当事者として実行を決めることも当事者として行動できている状態といえる
■ 4. 視座を上げた実体験エピソード
- 【個人→チーム】 がむしゃらにチームに貢献できることを探し、チームを主語にタスクを進める:
- 担当者不在のOSS脆弱性対応に手をあげて手探りで対応を進めた経験
- 停滞していることに突っ込んでいくことで自身の解像度があがり、チームの製品への解像度も高まった
- チームで必要なものごとに関わることで視点を得ることができる
- 【チームタスク→メンバー自身】 チーム内の解像度を上げ、チームメンバーを主語にチームに向き合う:
- 小さなチームのリーダーとして、メンバーの能力・キャパシティを越えた期待値をかけ続けた結果、メンバーが疲弊しチームを去る人も現れた
- チームの理想だけでなく、メンバーの状態・能力・モチベーションという視点を持ってチームに向き合うことが必要だった
- 【チーム→担当領域】 チームへの期待値の解像度を上げ、自領域を主語にめざす状態を描く:
- マネージャーとして周囲がチームに求める期待値を自分の言葉で語れず、ロードマップ変更をそのまま伝えるだけになっていた
- 原因はロードマップ変更の背景・投資意図への解像度の低さと、メンバーへのフィードバックを躊躇するマネージャーとしての弱さ
- メンバーへの腹を割った対話と、周囲のマネージャー・ステークホルダーとの対話により解像度を高めることで改善した
- 【担当領域→会社】 全社ビジョンへの解像度を上げ、会社を主語に自領域が生み出す価値を示す:
- 担当領域のエンジニアリングマネージャーとして、会社のミッション・ビジョンへの解像度が甘く領域を越えた成果が出せていなかった
- 会社のミッション「スモールビジネスを、世界の主役に。」をマインドマップで深掘りし、なぜを突き詰めることで自領域が生み出す価値との接続を実現した
- 上位の視点(会社レベル)から解像度を上げていくことで、自領域のロードマップや優先順位の根拠を明確に示せるようになった
■ 5. まとめ
- 「視座を上げる」とは「周囲に対する解像度をとにかく上げる」行為に集約される
- 物差しとして「その人を主語にして状況を語れるようになること」を活用し、語れる主語を増やすことが視座を上げる実践的な第一歩となる