■ 1. OSを握る者がソフトを制す
- 一太郎からワードへの逆転:
- 一太郎は1980〜90年代に隆盛を誇った国民的ワープロソフト
- 日本を代表する国産ソフトがマイクロソフトのワードに逆転を許した
- 逆転の背景にあるウィンドウズ:
- 当時のOS市場の9割以上を握っていたとされるウィンドウズの存在が背景にある
■ 2. 一太郎の躍進
- 発売と累計出荷:
- 一太郎は1985年に発売された日本語のワープロソフト
- 発売と同時に爆発的に売れ始め、1997年にシリーズ累計出荷本数が1000万本を突破
- 国産ソフト初の快挙:
- 国産のパソコンソフトとしては初の1000万本突破
- 開発・販売を手がけるジャストシステムは日本一のソフトメーカーと呼ばれた
■ 3. ヒット要因としての日本語変換能力
- 優れた変換能力:
- 一太郎がヒットした要因は日本語の文章の優れた変換能力にある
- 長い文章を書いてもスペースキーを押すだけで単語などを自動で判定する
- ひらがなを漢字と送りがなに高い精度で変換できる
- 当時としての画期性:
- 今でこそ珍しくない機能だが、当時は画期的な技術
- パソコンでこうした変換ができるのは一太郎だけだった
■ 4. マイクロソフトとの共存共栄
- 相互依存の構造:
- OSを提供するマイクロソフトと応用ソフトを提供するジャストシステムはもともと共存共栄の関係にあった
- パソコンが普及していなかった時代、消費者はワープロソフトを使うためにパソコンを買った
- 一太郎が売れるほどパソコンに必要なOSも普及する
- ジャストシステム側の依存:
- マイクロソフトのOSがなければパソコン上で一太郎を動かせない
- 両社は互いになくてはならない存在だった
- 事前情報の提供:
- 創業者で元社長の浮川和宣によれば、新しいOSが出る前にマイクロソフトから早めに情報をもらっていた
- 発売に合わせて一太郎を供給できるようにしており、ウィンウィンの関係だった
■ 5. ワードの登場と競合認識の欠如
- 関係変化の起点:
- 両社の関係が少しずつ変わったのは、マイクロソフトが1990年代初めにワードを供給し始めてから
- ワードはワープロソフト市場で一太郎と競合するソフトだった
- ライバル視しなかった理由:
- ジャストシステムは当時ワードをライバル視していなかった
- 英文用として開発されたワードは日本語の変換機能が十分でなかった
- 一太郎の人気を脅かすような性能ではなかった
- 開発者の実感:
- 一太郎を開発したプログラマーで浮川の妻の初子は、店頭の販売で戦ってもワードは強くなかったと語る
- 一太郎の方が圧倒的に性能が良く、ワードは敵ではないという感じだった
■ 6. ソフトバンクによる流通の支え
- 孫正義の関与:
- 一太郎の店頭販売はソフトの流通大手・日本ソフトバンク社長の孫正義が支えていた
- 新製品を出すと全国に流通してくれるのがソフトバンクであり、孫は一太郎をよく売ってくれたと初子は述べる
- 盤石に見えた地位:
- 国民的ワープロソフトの座は揺るぎないように見えた