■ 1. マイクロソフト本社の「一太郎部屋」
- ゲイツへの表敬訪問:
- 1995年、ウィンドウズ95の発売を控えたマイクロソフトの米国本社での出来事
- 一太郎を開発、販売するジャストシステムの浮川和宣と初子が会長のビル・ゲイツを訪問
- 「一太郎部屋」の存在:
- 案内役の社員が2人を本社の一角の部屋に招き入れた
- 一太郎がインストールされた日本のパソコンが並び、棚には発売済みの一太郎のパッケージが置かれていた
- ホワイトボードには一太郎の特徴が書かれているようだった
- 社員の説明:
- 一太郎を研究している部屋だと隠し立てもせずに説明し、2人の目の前で一太郎を動かしてみせた
- 和宣の受け止め:
- ワードは世界では圧倒的に強いのに日本ではどうしても一太郎に勝てない
- この部屋で研究し対抗しようとしているのだろうと考えた
■ 2. 日本市場におけるワードの劣勢
- 言葉の壁:
- ワードは欧米では標準ソフトの座を勝ち取っていた
- 言葉の壁が立ちはだかる日本と韓国の市場は攻略できていなかった
- 94年度のシェア:
- 当時の公正取引委員会の資料や報道によると、ワープロソフト市場のシェアは一太郎が5割を占め首位
- 日本語の変換性能に優れた一太郎がマイクロソフトのワードを圧倒していた
- ゲイツの認識:
- 日本市場の唯一のライバルはジャストシステムの一太郎だと語った
- 95年にOSのウィンドウズ95を発売すると、ワードの販売拡大に力を入れ始めた
■ 3. 初期搭載をめぐる攻防
- 店頭販売での劣勢:
- 量販店などの店頭販売では一太郎が圧倒的に優位に立っていた
- 初期搭載への着目:
- マイクロソフトが目をつけたのは、パソコンメーカーとの契約で自社のソフトをまとめて初期搭載してもらうこと
- 多くのメーカーに初期搭載してもらえれば一気に販売数を稼ぐことができる
- お株を奪う形での展開:
- パソコンへの初期搭載を始めたのはジャストシステムが先で、一太郎のシェア拡大の原動力になっていた
- マイクロソフトはそのお株を奪う形で、ワードを初期搭載するよう日本のパソコンメーカーに働きかけ始めた
■ 4. 抱き合わせ販売によるシェア獲得
- 富士通への要請:
- 公取委の資料によると、95年にマイクロソフトは富士通に対しエクセルとワードを併せて搭載するよう要請
- 富士通はワープロについては一太郎を搭載したいと伝えた
- マイクロソフトは拒絶し、ワードの初期搭載を受け入れさせた
- 他メーカーへの波及:
- 以降、NECなど10社以上のパソコンメーカーがエクセルとワードを自社パソコンに初期搭載するようになる
- エクセル人気の活用:
- 当時、エクセルは表計算ソフトでシェア首位
- マイクロソフトはエクセル人気を武器に、パソコンメーカーにワードを抱き合わせ販売することでシェアを獲得していった