■ 1. 記事の趣旨
- IT業界への警告:
- 2026年現在、生成AIは業界そのものを変化させる強い力として働く
- 該当業界内の人材は変化を見据えた動き方をすべき
- 想定するスパン:
- 2〜3年という短期間で発生する変化と役割変化を対象とする
■ 2. 業界の位相
- 業界単位の浮沈:
- 業界単位では、ある業界が別の業界に取って代わられる浮沈が発生する
- 時流により業界全体が沈下し、競合もろとも消滅する場合もある
- 参考文献は三品和広著「実践のための経営戦略論」
- プレイヤーの入れ替わり:
- 実際にはプレイヤーがいつの間にか入れ替わる現象が発生している
- 銀塩フィルムの例:
- 銀塩フィルム業界はデジカメの登場により沈下した
- 利用者は便利になったと買い替えるだけだが、業界内では企業の衰退・撤退・破綻が発生していた
- その他の入れ替わり事例:
- 乾電池から充電池、百貨店から大型スーパー・コンビニへの入れ替わりも業界単位で起こりうる
- 個人の努力の限界:
- 個人や一企業の努力ではどうにもならず、その業界にいるだけで危機に陥る
■ 3. 変化の要因と実例
- 変化の要因:
- 生成AIによるプログラミングをはじめとする各種IT関連業務の効率化・生産性向上
- ここでの生産性はプログラムの作成量やテストの実行数、自動テスト作成量で捉える
- 著者自身の状況:
- 企業内スタートアップ的なプロダクトの拡張システムを、要件定義からひとりでの実装・テストまでこなしている
- 売上がじわじわ成長するため業務範囲は増え続けている
- 増員意欲の消失:
- 1〜2年前まではテスト要員や成長に応じた実装担当者の増員が必要と考えていた
- 現在は生成AIに頼ればなんとかなるとなり、追加人員が欲しいという気持ちは発生していない
- 世の中の事例:
- 実装やテスト実行、治具的なツール作成の範囲では情報過多ともいえるほど事例があふれている
- プログラムにあまり触れない運用担当者に環境を用意し、自動テストや解析を任せる事例も見えている
■ 4. 2026年現在の到達点
- 増幅器としての生成AI:
- うまく仕組みを構築すれば一部の業務範囲で成果物の作成速度を数倍にできる
- ある程度の専門家が仕組みを作りフォローすることで生産性を数倍にする増幅器が得られた
- 対象となる業務範囲:
- テスト設計から自動テスト実施、検出した問題の分析まで
- 仕様からユニットテストをセットでプログラミングする作業
- 開発やテスト・運用支援ツールの作成
- 非エンジニアの参入:
- 運用担当者などの非エンジニアが簡単なツールや自動テストの一部を作成するようになりつつある
- 顧客に直接提供するシステムは専門家が担当し、ログ解析や管理者支援、テスト補助のツールは非エンジニアが手を出せる領域となる
■ 5. ビジネスへの影響
- 売上は数倍にならない:
- 特定業務が数倍の生産性になっても、ほとんどの企業で売上が突如変わることはない
- 突如売上を数倍に増やした企業は見当たらない
- 多くのビジネスでは作っただけですべてが売れるわけではない
- 工数側の圧縮:
- 今まで10人・1か月で出していた成果を3〜5人・1か月で出せる領域ができた
■ 6. 変化の構造
- 前提となる構図:
- 需要側の事業会社が開発を求め、供給側の部署や企業がシステムの開発力・技術人材を提供する
- 需要側の内製化:
- 開発の難易度が下がるため、需要側は簡易なシステムやツールを自分で開発するようになる
- 高い信頼性が求められるシステムや顧客へサービス提供するシステムは、信頼できる部署・企業に継続して任される
- 需要量の飽和:
- 売れる量や必要とされるシステム開発の需要はいきなり数倍には増えない
- 開発の供給量だけが数倍になると過剰供給から需要が飽和する
- 開発量抑制のため工数削減の方向に進む可能性が高い
- 供給側の選別:
- 生成AIでは全員が生産性向上できるため、同一の工数で数倍の成果が求められる
- 競争原理により、同一工数で高い成果を謳う人や企業へ業務が移る
- 従来と変わらない生産量しか出さない人や企業、生成AIと変わらない信頼性のシステムしか生み出せない人や企業は徐々に選別される
■ 7. 予測される役割の変化
- 既存プレイヤーの選別と入れ替わり:
- 開発を供給する組織内の人や部署、外部委託先企業に選別と入れ替わりが発生する
- 縮小が見込まれる業務:
- 手の早さを特徴としPoC支援を提供する部署や企業
- 言われたままシステム開発を受け持つ部署や企業
- これらは縮小・依頼量の削減へ進み、部署解散や事業撤退となる可能性がある
- 生産性向上の仕組みを作る人材:
- 業界が完全に変化するまで、各企業で生産性向上をする仕組みが求められる
- 生成AIを活用し組織の生産性を高める仕組みを作る人材・企業は貴重かつ必要とされる
- クラウド移行時にインフラのベースとなる仕組みを作る人が求められた状況と近似する
- これらの仕事をする人は高評価となり、高い賃金を得る役割となっていた
- 非エンジニアを開発側に寄せる役割:
- 開発の難易度が下がり、今まで開発に手を付けていなかった人が支援を受けて開発領域に入り込む
- その支援を担う役割も求められると予想する
■ 8. 結論と注意事項
- 顕在化の時期:
- この現象が具体的に見えてくるのは、需要側各社の来年度や再来年度の予算決定以降となる
- 明言しない事項:
- どの業界が一番危険かまでは明言しないが、将来性が疑われる企業や部署はある程度予測できる
- 今後求められる存在も本記事では記載せず、読者自身が考えることを勧める
- 記事の限界:
- 2026年7月段階での検討内容であり、予想よりも大きな変化となる可能性がある
- 裏付けとなる数値までは用意していない
- 今後、業界でのシグナルを検知次第、追加で情報を出す考えである