■ 1. OSを持つ者の力
- OS供給力を使った販売:
- マイクロソフトがOSを供給する力を使ってワープロソフトを売れば、手も足も出ず勝てるわけがない
- 一太郎を開発、販売していたジャストシステムの当時の営業担当者、加藤彰の見方
- メーカーが逆らえない構造:
- 各メーカーのパソコンには世界標準となったOS「ウィンドウズ」が搭載されている
- ワードの搭載を拒めばウィンドウズを供給してもらえなくなるのではないかという懸念があった
- 基幹ソフトを握るマイクロソフトの意向にメーカーが逆らうのは難しい状況だった
- OSを持つことの意味:
- OSがないとパソコンが動かないため、マイクロソフトはメーカーにどんな条件でものませることができる
- 一太郎を開発したジャストシステム創業者、浮川初子の述懐
■ 2. 打つ手のない危機感
- 不合理だが対抗できず:
- マイクロソフトのやり方は不合理だと初子は考えたが、打つ手はなかった
- 夫の浮川和宣は会社存亡の危機になるかもしれないと強い危機感を覚えた
■ 3. 抱き合わせによる首位交代
- ワード初期搭載の働きかけ:
- マイクロソフトがワードを初期搭載するよう日本のパソコンメーカーに働きかけた
- 一太郎は急速にシェアを落としていった
- 1997年度の首位奪取:
- 抱き合わせによりワードは一気にシェアを伸ばした
- 1997年度には5割超を占め、一太郎から首位の座を奪った
■ 4. ジャストシステムの業績悪化
- 売り上げの急落:
- 主力の一太郎のシェア低下により、ジャストシステムの売り上げは激しく落ち込んだ
- 数字の落ち方は尋常でなく、予想を上回る落ち込みが毎年続いた
- 98年3月期決算で赤字に転落
- 「狩猟民族」との実感:
- OSもソフトも全て食い尽くしてしまう
- 営業の最前線でマイクロソフトと戦っていた加藤の受け止め
■ 5. 公正取引委員会の対応
- 立ち入り検査と排除勧告:
- 98年1月に独占禁止法違反容疑でマイクロソフト日本法人へ立ち入り検査を実施
- 98年11月にエクセルとワードを不当に抱き合わせて販売したとして独禁法違反で排除勧告を出した
- 遅すぎた結論:
- 排除勧告が出ても一太郎が失ったシェアが戻るわけではない
- 公取委の結論が出たのはもう勝負がついた後であり遅すぎたと和宣は考える
- 和宣は当局の動きの鈍さに今も不満を抱く
- 公取委現役幹部の認識:
- いったんワードが普及してしまうと、そこから一太郎がひっくり返すのは難しい
- もっと早く対応すべきだった
■ 6. デジタル敗戦の教訓
- OSを持つ者の強大な力と、持たざる者の悲哀
- 動きの鈍い独禁当局
- 日本を代表する国産ソフトの凋落は、デジタル敗戦を喫した日本に様々な教訓を与えている