■ 1. AIによるSE不要論の台頭
- AIの業務浸透:
- コーディングから不具合の検知までAIが担うようになった
- AIが自らコードを作成できるようになったことでSE不要論が台頭している
- 新人SEの防衛行動:
- この春に大手IT企業へSEとして入社した男性は、週末にインターネットを通じたマーケティングの副業に取り組む
- キャリアの選択肢を増やし将来に備えるためであり、入社2カ月のため副業申請はもう少し後にすると述べる
- コードを書くのは好きだが、AIでSEの需要はどんどん減っていくとみてリスクに対応する
■ 2. SHIFTへの市場の懸念
- あおりを受ける筆頭格:
- 大規模採用で競争力を高めてきたソフトウエアテスト大手のSHIFTがSE不要論の影響を最も受ける
- 株価の下落:
- 直近1年間の株価は業界大手のNEC、富士通、日立製作所と比較して下落が著しい
- 足元では600円台で、上場来最高値をつけた2023年12月の3割程度で推移する
- 投資家の疑念:
- SHIFTは売上高の6割超をソフトウエアテスト関連事業が占める
- AIが不具合の検知まで担う今、テスト業務は不要になるのではないか、AIで駆逐されるのではないかとの懸念が寄せられる
■ 3. 主力事業消滅を認める経営判断
- 需要消滅の明言:
- 26年4月の第2四半期決算説明会で丹下大社長は主力事業の需要がなくなる可能性があると言い切った
- 自ら成長モデルを壊す判断:
- 菅原要介・上席執行役員兼CHROは、なくなると言えばさらに株価を下げるかもしれず直前まで悩んだと振り返る
- 従来の成長モデルを自ら壊せる会社が勝つと考えて明言に踏み切った
■ 4. AI前提の事業構造転換
- 二つの新領域:
- AIで開発・テストなどの生産性を高める「With AI」領域の事業モデルを設計する
- 業務やシステムそのものをAI前提で再設計する「Native AI」領域の事業モデルを設計する
- リスキリングの実行:
- With AI、Native AI領域を担えるエンジニアへのリスキリングを進めている
■ 5. 440人の採用ストップ
- 採用方針の転換:
- 26年8月期に予定していた採用人数2500〜2700人のうち、440人の採用ストップを公表した
- 内訳はコーポレート部門の95人と、事業部門で年収想定600万円以下の345人
- コーポレート部門のAI代替:
- 約200人分の業務をAIで代替する
- 代替に成功した手法を「AI BPaaS」事業として他社に提供する
- 同部門にいた社員はAI BPaaS事業に従事する
■ 6. 従来の成長モデルとの決別
- 人数拡大による成長:
- 人的資本経営の仕組み化により人員の数を増やし、テストや開発の業務をより多く受託して売上高を伸ばしてきた
- 非エンジニアであっても適性を見極めて採用しエンジニアに育て上げ、22年8月期以降は毎年2000人超を採用した
- 逆方向への発想転換:
- 採用数を抑える動きはこれまでの成長モデルとは逆の発想である
- 現在は未経験者をエンジニアに育てることを想定した採用は実施していない
- 従業員数をKPIとせず、AIとともにいかに売上高を伸ばせるかという方針に転換している
■ 7. 新卒採用と求める能力の変化
- 新卒文化の維持:
- 新卒採用は大幅に減っていくとみるが、新卒文化はなくしたくないと菅原氏は述べる
- 26年4月には約360人が新卒で入社した
- 採用基準の転換:
- エンジニアの採用基準をコーディングなどのスキル重視からコミュニケーション能力やヒアリング能力に変えた
- 顧客との交渉を基にシステムの方向性を決める上流工程を担えるエンジニアが求められている
- 10年分を1年で習得:
- 新卒はこれまでなら10年かけて身に付けていた力を1年で習得する必要がある
- 入社後1年でAIを活用してどこまでのスキルを持てるか、今年の新卒の成長データは非常に重要だと菅原氏は語る
■ 8. 市場とアナリストの評価
- 成否の見極め難さ:
- 大和証券の上野真アナリストは、従来の成長モデルを代替する新モデルが必要となるが現時点では成否を見極めにくいと指摘する
- そのため株式市場では一時的に売り圧力が強まっている可能性がある
- 他社経営者の思考停止:
- 多くの企業はSHIFTのように動く必要があるにもかかわらず、AIが進化しても影響ないだろうと思考停止状態になっている経営者もいるとの声もある
■ 9. オフショア開発企業への波及
- FPTジャパンHDの急成長:
- ベトナムのIT大手FPTソフトウエアの日本法人であるFPTジャパンHDにもAIの波が及ぶ
- 直近3年間の売上高成長率は約30%であり、この急成長を人材が支えてきた
- 25年には1300人を採用し、社員数は5000人を超える
- 採用設計の見直し:
- AIでコーディングの効率を引き上げることを前提に採用を設計している
- チン・バン・タオ執行役員兼CHROは、今後の採用は上流工程を担える人にフォーカスし社員数の拡大スピードは鈍化させると話す
- それでも売上高の成長は加速させるとし、30年までに社員数を現在より4割多い7000人にするのが目標である
■ 10. 即戦力人材を採る仕組み
- ベトナムが新卒採用の主戦場:
- FPTジャパンHDの強みは即戦力を取り入れることにある
- 日本企業には新卒を採用してじっくり教育する仕組みがあるが、ベトナムで採る新卒は入社時から即戦力の扱いである
- グループの教育事業:
- FPTグループはベトナム国内で小学校から大学まで教育機関を持つ
- 幼少期から先端技術に触れる機会を提供し、FPT大学で学んだ学生の3割はFPTグループに入社する
- 1年間の長期インターン:
- ベトナム国内の約30大学と連携し、日本で一般的な数週間〜数カ月とは異なる1年間のインターンを実施する
- 期間中はFPTが受託したプロジェクトに参画し社員とともに実務を担う
- それを経て入社する社員は新卒であっても即戦力となる
- 生き残りの条件:
- 変化の激しいAI時代、即戦力となる人材を採る工夫も生き残りを左右する